40代でさらに成長し続けるためのマインドセットと学び直し戦略

停滞感への共感と問題提起

40代に差しかかり、これまで順調だったキャリアがふと停滞しているように感じたり、将来への漠然とした不安に駆られたりすることはないでしょうか。仕事にも慣れ責任も増した今、「このままで良いのだろうか?」と自問する瞬間があります。まさに40代は人生の折り返し地点を過ぎ、今後の生き方を見直す転換期です。

大丈夫、みんな、同じことを思っています。

心理学者たちは40代を人生の折り返し地点と捉え、主に以下のように評価・表現しています。

1.「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」

  • 心理学者エリオット・ジャックが提唱した概念で、40代を「自己評価と現実のギャップを痛烈に感じる時期」と定義。
  • これまでの人生に疑問を持ち、「これでいいのか」という不安や葛藤が高まると表現される。

2.「人生の正午(ユング心理学)」

  • 心理学者カール・グスタフ・ユングは40歳前後を「人生の正午」と呼び、それまでの外的成功や社会的な役割追求から、内面や精神的な充実を求める時期にシフトすると述べている。
  • 人生の前半(若年期)が「外的世界の征服」を目指すのに対し、後半(中年期以降)は「内的世界の統合」を目指すとされる。

3.「生成継承性(ジェネラティビティ)の発達課題(エリクソン心理学)」

  • 発達心理学者エリク・エリクソンは、40代を「世代継承性(ジェネラティビティ)対 停滞」の葛藤の時期としている。
  • 「次世代に何を残せるか」といった社会的・心理的貢献を考えるようになり、この課題をクリアすると、より成熟した人間へと成長できると評価。

4.「U字型幸福曲線」

  • 心理学者の研究では、幸福度は年齢に伴いU字型を描くと指摘。40代前後で幸福度が最も低くなり、その後再び上昇する傾向が見られる。
  • 40代を「心理的な底」と表現し、この時期に自分自身を深く見つめ直すことで、その後の人生での満足度が高まるとされている。

5.「アイデンティティの再構築」

  • 40代はこれまでのキャリアや役割を振り返り、新たなアイデンティティを構築する機会と心理学的には評価されている。
  • 「本当に自分らしい人生とは何か」といった自己再定義のプロセスを経ることで、人生後半に向けて主体的な選択をしやすくなる。

どれが本当の自分なんだろうか。と。

現代は「人生100年時代」と言われ、70歳まで働くとすれば40代はまだ折り返し地点。しかし頭で分かっていても停滞感から抜け出せずに悩む人もいます。

成長を阻む要因とは何か

では、なぜ40代で成長が鈍化したように感じてしまうのでしょうか。その背景にはいくつかの要因が考えられます。

  • 変化への恐れと重圧: 若い頃に築いた成功パターンに安住し、新しい方法や技術への挑戦を避けてしまいがちです。また、家庭や職場で責任が増え失敗が許されにくいプレッシャーもあり、現状維持を選択してしまいます​。
  • 学習機会の減少と慢心: キャリアが安定するにつれ、新たな知識を得る機会は減りがちです。日々の忙しさや安定への慢心から学びを後回しにしがちなのです。
  • 固定観念と自己効力感の低下: 「今さら新しいことを学んでも遅い」と決めつけてしまう固定観念も成長を妨げます。「自分には無理かも…」と考えるうちに、本来持っている「やればできる」という自信(自己効力感)も薄れ、挑戦意欲が湧かなくなります。

成長マインドセットへの転換

成長を取り戻す鍵は、まずマインドセット(考え方)を見直すことです。特に成長マインドセット自己効力感を意識して高めましょう。

成長マインドセットとは、「人は努力次第で能力を伸ばせる」という考え方で、反対に「能力は生まれつき変わらない」と思い込む状態を固定マインドセットと呼びます。停滞を打破するには、この成長マインドセットを意識的に養いましょう。研究により、脳は大人になっても学習によって変化し得ることが分かっています​。つまり、年齢に関係なく意欲次第で脳もスキルも鍛えられるのです。

そして「自分はやればできる」という自己効力感も重要です。小さな成功体験を積み重ねることで自己効力感は高まります。例えば、新しいツールを一つ使いこなす、ミニプロジェクトを完遂して達成感を得るといった経験を通じ、「自分にもできた」という自信が生まれ、それが次の挑戦への原動力となります。

ポータブルスキルを磨く学び直し戦略

マインドセットを切り替えたら、次は具体的な学び直し(リスキリング)に取り組みましょう。特に40代が注力すべきは、業界や職種を超えて通用するポータブルスキルの強化です。ポータブルスキルとは文字通り“持ち運び可能なスキル”で、どんな職場でも活かせる能力を指します​。これらは転職の成否を分ける鍵にもなる強力な武器です。

では具体的にどのようなスキルを磨けば良いでしょうか。主要なポータブルスキルの例を挙げます。

  • プレゼンテーション・コミュニケーション能力: 自分の考えを分かりやすく伝え、相手を動かす力です。社内外で発表の機会を意識的に増やし、論理的に話す訓練やストーリーで語る工夫を重ねて磨きましょう。
  • 問題解決力・論理的思考力: 問題の本質を見抜き、解決策を導き出す力です。日頃から「なぜ?」と原因を考える癖をつけ、業務でもフレームワークを活用して鍛えましょう。
  • ITリテラシー(デジタル活用力): オフィスソフトから最新のAIツールまで、ITを使いこなす力です。特にChatGPTに代表される生成AIなど新技術を理解し活用するスキルは重要です​。業務で使うシステムの習熟など、デジタルスキルを底上げしましょう。
  • リーダーシップ・マネジメント能力: チームを率いて目標を達成に導く力です。40代は部下の育成やプロジェクトリーダーに挑戦し、信頼関係構築や意思決定力を磨きましょう。

これらのスキルを磨けば、今の職場でも頼れる存在になり、いざ転職する際も即戦力として活躍できるでしょう。新しいことを学ぶプロセス自体が刺激となり、停滞していたモチベーションもよみがえります。

戦略的に学ぶ姿勢も忘れないでください。闇雲に資格取得を目指すのではなく、なりたい将来像から逆算して伸ばすスキルに優先順位を付けましょう。目指す姿を具体的に思い描き、それに必要な能力から学び直し計画を立ててください。

カウジ
カウジ

不安だからといって、とにかくいっぱい資格を取るのは、ちょっと違う。周りにも、こういうタイプが多いんです。温泉ソムリエ取りました、スイーツコンシェルジュ取りました、とか。(ただし、それがキャリアに繋がるのであればOK)自分の価値から逆算をして、なりたい将来像を描く。そこにたどり着くまでの「手段」として必要だ、という順番です。

小さく始める行動提案

マインドセットを変え、伸ばすべきスキルが見えてきたら、あとは行動あるのみです。今日から始められる小さな一歩を挙げます。

  1. 週末や終業後に30分の学習タイムを確保し、具体的な目標を設定: スケジュールに学習時間を書き込み、「来月の会議で提案プレゼンを成功させる」など達成基準が明確な目標を一つ定めましょう。
  2. 学びのリソースを活用: リソースは豊富です。興味に合ったものを一つ選び、学び始めてみましょう。
  3. 日々の業務に新知識を実践: 学んだことはアウトプットしてこそ身につきます。習ったフレームワークで職場の課題を分析する、新しいツールで業務効率化に挑戦するといったように、日常業務で学びを実践しましょう。

小さな行動でも、続ければ確実に昨日までの自分を超えていけます。大切なのは、この行動によって学ぶサイクルを回し続けることです。挑戦 → 成功・失敗 → 振り返り → 次の挑戦、という循環を重ねる中で自己効力感も高まり、成長マインドセットが一層強化されていくでしょう。

カウジの実践

私自身がこれまでやってきたことを実体験を交え、ご紹介します。

1.小さく始めるため、担当業務を細かくタスクへ分解し、サブクエスト化。Outlookのスケジュール帳に、やることを細かく記載。スケジュール帳なので、自ずと期限が設けられます。この制限時間以内に、タスクをクリアさせるというゲーム化をすることで、前に進めるということを重視しています。

2.アウトプットの爆速化。上司や同僚と方向性をすり合わせるための答え合わせとして。早く出すと、多少間違っていても許される、的な雰囲気を自ら演出して、スピード重視で対応することを意識しています。先手を打つ。

3.一度やってみて、うまくいったやり方とは違うやり方を模索してみる。同じルートを通らず、新しいルートを模索するということを、たまに行っています。織田信長的思考1(一度やってみてうまくいったことは、次やらなかった)を、たまにやっています。

次回予告

ここまで、40代で停滞感を突破するマインドセットと学び直し戦略についてお届けしました。次回は、40代でキャリアチェンジを成功させた事例を紹介し、学び直しのリアルな効果とさらなるヒントを探ります。

ではまた!

  1. 「一度やってみて、うまくいったことは、次やらなかった」という言葉、あるいはそのような思想が織田信長にあったという説は、現代でもときどき引用されます。史実としては明確な証拠はありません。この言葉自体が信長の発言として記録されているわけではなく、後世の解釈や創作、あるいは現代の経営論的な信長像として語られているものです。 ↩︎

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