40代管理職のマインドフルネスでストレスとうつを予防する方法

こういう時間が取れればいいのですが、なかなか、ですよね。

朝、目が覚めると同時に押し寄せる重たい気分。会社に行かなきゃいけないのに身体が動かない――そんな経験はありませんか?仕事の責任は増す一方、将来への不安も募り、心は休まる暇がない。実はあなたのような40代の中間管理職の8割以上が「職場で強いストレスを感じている」というデータもあります​。あなただけが特別に弱いわけではありません。だからこそ、「もしかして自分は軽いうつ状態かも」と感じ始めた今、放っておくのではなく予防的に心のケアを始めることが肝心です。

では、どうすればその朝の憂鬱や慢性的なストレスを和らげ、心の健康を取り戻せるのでしょうか?鍵となるのが近年ビジネスリーダー達にも注目されている「マインドフルネス」です。名前だけ聞いたことがある方も多いかもしれません。マインドフルネスとは簡単に言えば「今この瞬間に意識を向ける」トレーニングです。過去の後悔や未来の不安に囚われて思考が堂々巡りすると、心や脳は疲弊してしまいます。そこで呼吸など「今ここ」に集中し、浮かんでくる思考や感情を客観的に眺めて手放すことで、心を現在に引き戻すのです。実際にGoogleが社員研修に取り入れて話題になって以降、多くの企業や経営者、アスリートが実践し始めています。一過性の流行ではなく、それだけの理由が科学的にも示されてきているのです。

科学が示すマインドフルネスの効果

「本当に効果があるの?」――半信半疑な方もいるでしょう。管理職ともなれば合理的なエvidence(根拠)を求めるのは当然です。安心してください、マインドフルネスの効果はしっかり科学的エビデンスによって裏付けられています。例えば、209の研究を分析した大規模メタ分析では、マインドフルネスに基づく療法が不安や抑うつの症状を中程度から大きく改善することが確認されています​。さらに、別の専門家の調査によれば、正しく継続すれば集中力や記憶力、感情のコントロール能力が向上し、ストレスや不安によるメンタル不調の予防にも良い効果を発揮するとされています​。実際、マインドフルネスを習慣にしたビジネスパーソンの中には「イライラしにくくなった」「以前より冷静な判断ができる」「仕事のパフォーマンスが上がった」と感じる人も多いようです​。

興味深いのは、マインドフルネスが継続によって脳の構造にまで変化を及ぼす点です。脳の前頭前野(自己制御を司る部分)が活性化し、逆に不安や恐怖に関与する扁桃体は小さく縮小するという研究報告もあります​。簡単に言えば、ストレスに強い「しなやかな脳」へと実際に作り変えられていくのです。心が安定すれば自然と仕事のパフォーマンスも高まり、部下や家族にもより良い対応ができるようになるでしょう。このように科学と実践の両面からメリットが明らかになっているマインドフルネスは、まさに心のメンテナンス術と言えます。

忙しい毎日に取り入れられる具体的アクションプラン

とはいえ、「瞑想」と聞くと難しそうに感じるかもしれません。ここからは、仕事に忙しいあなたでも今日から始められる具体的で再現性のあるマインドフルネス習慣を提案します。ポイントは無理のない範囲で少しずつ取り入れることです。一度に劇的な変化を求めず、毎日の小さな実践の積み重ねが効果を生みます。

こんなかんじで!

  • 朝の5分間呼吸瞑想: ベッドから出る前に、または朝一番にコーヒーを飲む前の時間に5分だけ目を閉じて呼吸に意識を向ける時間を作りましょう。背筋を伸ばして座り、ゆっくり鼻から息を吸って吐きます。考え事が浮かんできても、「あ、今こんなことを考えていたな」と気づいたら再び呼吸に集中します。たった数分でも呼吸に集中することで、夜明けのモヤモヤした気分が和らぎ、心に静かなスペースが生まれます。最初はタイマーをセットして1分からでも構いません。徐々に伸ばして5分程度できるよう目指しましょう。
  • 仕事の合間に1分マインドフルネス休憩: 日中、ストレスを感じたときや集中力が途切れたときは、トイレ休憩や席でコーヒーブレイク中に1分間のミニ瞑想を取り入れてみましょう。PCから目を離し、背筋を伸ばして目を軽く閉じます。ゆっくりと息を吸って吐き、「今、自分は息を吸っている/吐いている」と心の中でラベリングします(実況中継するイメージです)。たったこれだけですが、散らかった思考がリセットされ、仕事に戻ったときの頭のクリアさが違ってくるはずです。周囲からは目をつぶって考え事をしている程度にしか見えませんから、オフィスでも気兼ねなく実践できます。
  • 就寝前のボディスキャン: 夜、布団に入ったら眠りに落ちる前の数分間を使って身体と心をほぐすボディスキャンを試しましょう。仰向けのまま軽く目を閉じ、足先から頭頂まで順番に意識を向けていきます。「足先がジンジンしているな」「今日は肩がこっている」など、各部位の感覚に注意を向け、緊張があればふっと力を抜いていきます。全身をくまなくスキャンするころには呼吸も深まり、心身ともにリラックスしているでしょう。眠りの質が上がり、翌朝の気分にも良い影響があります。

以上のようなシンプルな実践を毎日の習慣に組み込むことで、少しずつ心の筋力が鍛えられていくのを感じられるでしょう。スマートフォンの無料アプリやオンラインのガイド音声を利用するのも効果的です(「マインドフルネス 瞑想 ガイド」などで検索すると初心者向け音声が見つかります)。忙しい日々の中でも、トレーニングと同じ感覚で自分の心に投資する時間を確保してみてください。

こういう時間がだいじ!

視野を広げる:ストレスとの付き合い方を再考する

マインドフルネスを続けると、不思議なことに自分のものの見方(パラダイム)にも変化が現れてきます。日々目の前の業務や責任に追われていると、つい視野が狭くなり「自分が背負っている重圧が世界の全て」のように感じてしまいがちです。しかし、一歩引いて心を落ち着ける時間を持つことで、「自分は何にそんなに囚われていたのだろう?」と冷静に捉え直せる瞬間が増えてきます。例えば、失敗への不安が頭を離れなかった人が、「失敗しても命まで取られるわけじゃないし、成長の糧になる」と客観視できたり、「自分は会社の歯車の一つに過ぎない」とネガティブに捉えていた状況を「家族や仲間を支えている重要な役割を果たしているんだ」と前向きにとらえ直せたりすることがあります。これはマインドフルネスによって思考と自分を同一視しなくなる(メタ認知する)力が養われるおかげです。

また、視野を広げるという点では、「そもそも幸せな人生にとって仕事の位置づけとは何だろう?」といった根源的な問いに思いを巡らせる余裕も生まれてくるかもしれません。忙殺されているときには考えられなかったこうした問いに向き合うことで、人生全体を俯瞰した新たな気づきが得られるでしょう。それは決して仕事を投げ出すという話ではなく、むしろ長期的に見て本当に大切にすべきもの(健康や家族との時間、自分の趣味など)とのバランスを取り戻すことにもつながります。心に余裕ができれば、不思議とストレスそのものの感じ方も変わってきます。プレッシャーを「自分を成長させるチャレンジ」と前向きに捉えたり、あるいは「これは自分ではコントロールできない事柄だ」と受け流したりと、柔軟に対処できるようになるのです。まさに視野が広がることでストレスとの付き合い方が変わると言えるでしょう。

さらに言えば、日々のストレスは放置すると利子のように雪だるま式に心身に負担が溜まります。しかしマインドフルネスという習慣は、その日のストレスをその日のうちにリセットし、メンタルの負債をこまめに返済していく行為とも言えます。そう考えると、忙しいビジネスマンにとってマインドフルネスは決してサボりや贅沢ではなく、未来への投資なのだと捉え直せるのではないでしょうか。

カウジの実践

・通勤中、立ったままボディスキャン瞑想。足先から頭頂部まで順番に体の各部位に注意を向けます。各部位の感覚や緊張を感じ取ります。揺れたり、急停止すると、ちょっと難しい。

・ひとりエレベーターでミニ瞑想し、思考観察。あ、またお腹すいたな、お菓子食べたいな、つまり不安があるな、と。2回に1回はそんな感じになります。

いずれも、ちょっとしたときに気付いた段階で、ちょっとやってみる。そのくらいでいいかなと。

まずは短い呼吸瞑想から試してみましょう

ここまで読んで、「ちょっとやってみようかな」という前向きな気持ちが芽生えてきたでしょうか?マインドフルネスは継続することで確実に効果が蓄積していきますが、始めるのに遅すぎるということはありません。まずは明日の朝、ほんの5分間だけ呼吸に意識を向ける時間を試してみましょう。たったそれだけでも、きっと何もしない昨日までとは違う一日が始まるはずです。心のトレーニングを積み重ねるうちに、ふと「あれ、最近前ほど落ち込まなくなったかも?」と感じる自分に出会えるかもしれません。最新の研究が示す脳構造の変化という壮大な話も、スタートはあなたの5分間の実践からです。もしかすると、その小さな一歩が将来のあなたを救う大きな一歩になるかもしれません。「継続は力なり」と言いますが、まさにマインドフルネスは続けるほどに心の筋トレ効果が発揮されるもの。まずは深呼吸、一つしてみませんか? 次回はさらに知的好奇心をくすぐるテーマで、あなたのメンタルヘルスをアップデートする方法をお届けしたいと思います。まずは明日の朝の5分間、静かな呼吸から始めてみましょう。

ではまた!

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