最強の思考法「どっちでもいい」

カウジです。昨年の後半、私自身に起きた現象として、なんだか行動ができなくなったことがありました。「どうしても成功したい」「失敗したくない」と強く願うほど、逆にプレッシャーで動けなくなったと言う状態異常です。その時の心理を深掘り、自分なりに分析をしたので履歴として残しておきます。

1.強い願望がプレッシャーに変わる理由

(1) 脳のストレス反応がパフォーマンスを低下させる

  • 人間はストレスを感じると、脳が「闘争・逃走反応(fight or flight)」を引き起こす。この状態になると、体は危機に備えるためにアドレナリンやコルチゾールを放出するが、同時に冷静な判断力や創造性が阻害される。
  • 強い願望がプレッシャーに転じると、この反応が過剰に働き、目の前の課題に集中できず、結果として行動を起こすことすら難しくなる。

(2) 「失敗=自分の価値の否定」という思い込み

  • 「失敗したくない」という願望が強い人は、失敗を「自分の価値がない証拠」だと感じることがある。この思い込みが強いほど、失敗への恐怖が膨らみ、「失敗を回避するためには行動しない方が安全だ」と脳が判断してしまうことがある。

(3) 完璧主義がハードルを高く設定する

  • 成功への執着が強い人は、しばしば「完璧でなければならない」という無意識の前提を持っている。これがハードルを必要以上に高くし、結果として「どうせ完璧にできない」と感じて動けなくなる原因になる。

(4) フォーカスが結果に偏りすぎる

  • 「成功するかどうか」という結果にばかり意識が向くと、プロセスに対する集中力が散漫になり、行動そのものにエネルギーを注げなくなる。結果をコントロールできない状況が不安を助長する。

背景にある心理学的要因

  1. 逆U字曲線(ヤーキーズ・ドッドソンの法則)
    • パフォーマンスとストレスの関係を示すこの法則によると、適度な緊張感は集中力を高める一方で、過剰なストレスはパフォーマンスを低下させる。
    • 強いプレッシャーを感じるほど、この曲線の頂点を超えて逆効果になることがある。
  2. 確証バイアス
    • 人間は、「自分が失敗するかもしれない」という不安を持つと、その不安を裏付ける情報ばかりに注意を向ける傾向があります。この結果、不安がさらに増幅される。
  3. 自己成就予言
    • 「絶対に成功しなければ」という強い願望が、逆に「失敗するかもしれない」という恐怖を引き起こし、その恐怖心が実際の失敗を招く原因になる。

典型的な事例

① 受験生が試験本番で実力を発揮できない

  • 強いプレッシャーを感じる受験生は、普段解けている問題でミスを連発したり、時間配分を誤ることがある。これは「絶対に合格しなければ」という焦りが脳のパフォーマンスを低下させるため。

② 起業家が一歩を踏み出せない

  • 起業を目指す人が「絶対に成功したい」という願望から、計画を完璧にしようとしすぎて、準備ばかりで実際の行動に移せないことがある。「このまま準備を続けていれば失敗しない」という心理的安全性を保つために、行動を先延ばしにしてしまう。

③ プレゼンやスピーチで緊張しすぎて失敗する

  • 人前で話すときに「絶対に失敗したくない」と思うほど、手が震えたり声が上ずったりする。これは、成功しなければならないというプレッシャーが、自然なリズムを崩してしまうから。

④ トレードでミスを繰り返す投資家

  • 投資家が「絶対に損をしたくない」と思うほど、小さな損失を回避しようとして冷静さを失い、逆に大きな損失を出すことがある。

2.動けなくなる状況を打破する方法


実は、最強のメンタル状態は「成功しても失敗してもどちらでもいい」と感じられる、心の余裕から生まれます。この状態を「脱執着」と呼び、心理学や神経科学でもその有効性が証明されているとのこと。

「どちらでもいい」という感情がなぜ最強のメンタルを作り出すのか、エビデンスを交えて解説。その具体的な活用方法を纏めました。

(1)「どっちでもいい」がもたらす心理的な自由

執着がストレスを生むメカニズム

強い執着や「こうでなければならない」という思い込みは、心理的ストレスの大きな原因。心理学者キャロル・S・ドゥエックの「マインドセット理論」では、失敗を避けようとする固定的マインドセットが、挑戦への意欲を削ぎ、結果的に成長を阻害することが示されている。

一方で「どちらでもいい」と思える状態は、心の余裕を生み、失敗を成長の一部として受け入れる柔軟性を高めるのではと考えます。この柔軟性がストレスを軽減し、パフォーマンスを引き出せたらと思います。

心理的解放と「フロー状態」

心理学者ミハイ・チクセントミハイの「フロー理論」によれば、フロー状態(集中力と没頭感が高い状態)に入るためには、過度な期待や不安を取り除くことが重要とのこと。「どっちでもいい」という感情は、このフロー状態を妨げるプレッシャーを解消し、自然体でのパフォーマンスを可能にします。

(2)「どっちでもいい」を実例で

① 投資の例:インデックス投資に分散投資する

投資の世界では、全額を1つの銘柄に賭けるような「一点集中投資」は、成功すれば大きな利益を得られる反面、大きなリスクも伴います。一方、インデックス投資やドルコスト平均法のように、複数の銘柄や市場に分散して投資する手法は、リスクを最小限に抑えながら長期的な利益を期待できます。

  • 「どちらでもいい」の感覚: 上がっても下がっても気にしない。市場全体が成長する限り、長期的にはプラスになると信じることで、日々の価格変動に一喜一憂せず、メンタルを安定させることができる。投資は心理学。新NISAはこの考えでOK。毎日、マネーフォワードで動向をウォッチしなくていい。

②キャリアの例:転職か現職の続行か

「今の仕事を続けるべきか、それとも転職するべきか」と迷う人は多いでしょう。執着が強すぎると「絶対に転職を成功させなくては」とプレッシャーを感じたり、「今の仕事を辞めたら後悔するかもしれない」と不安を抱えます。

  • 「どっちでもいい」の感覚: どちらを選んでも自分を成長させるチャンスだと考える。転職をすれば新たな環境で挑戦できるし、現職を続ければ今までの経験をさらに深められる。どちらを選んでも価値があると考えれば、冷静な判断ができるようになります。

③健康の例:ダイエット中の食事選び

ダイエットをしていると、「絶対にこの食事は完璧でなければ」と極端に制限してしまうことがあります。しかし、食事の制限が厳しすぎると、途中で挫折したり、リバウンドの原因になります。

  • 「どっちでもいい」の感覚: 完璧な食事を目指さず、「今日はたまたま少し多めに食べたけど、明日調整すればいい」と捉える。食事管理を柔軟に捉えることで、ダイエットが長続きし、ストレスを減らせます。

④人間関係の例:相手からの返信が遅いとき

誰かにメッセージを送り、なかなか返信が来ないと「嫌われたかも」「何か失礼だったかな」と不安になり、相手の行動に執着してしまうことがあります。

  • 「どっちでもいい」の感覚: 相手の返信スピードはコントロールできないため、「返信があれば嬉しいし、なければ気にしない」と考える。必要なら別の手段で連絡したり、相手の都合を尊重して待つ。こう考えることで、余計な不安から解放されます。

3.「どっちでもいい」を実現する具体的ステップ

①小さな選択から練習

日常的な小さな選択で「どちらでもいい」を試してみましょう。

  • : 今日の昼食を「どちらでもいい」として選ぶ。牛丼でもご飯+牛皿でも、お腹の中に入れば同じであることに気づく。

②意識的に選択肢を広げる

「これしかない」という思い込みをなくし、常に複数の選択肢を探す癖をつける。

  • : 転職を考えるとき、「現職に留まりながら新しいスキルを学ぶ」という第3の選択肢を視野に入れる。まぁこの考えで15年留まっていますが。

③成果よりプロセスを楽しむ

目標を達成することだけでなく、その過程を楽しむように意識する。

  • : ジム通いの結果(体重減少)に囚われず、「筋トレのフォームが上手くなった」といった小さな成長を楽しむ。目的は体重減少だったのですが。

④瞑想やマインドフルネスを習慣化

  • 瞑想を日常生活に取り入れ、呼吸に集中することで、執着を手放す練習を行う。マインドフルネスは、「今この瞬間」に集中する力を養い、「どちらでもいい」感覚を強化する。

まとめ: 「どっちでもいい」を試し、心に余裕を作る

「どっちでもいい」という感覚は、一見すると消極的に見えますが、実は心を自由にし、ストレスや不安を減らし、より良い意思決定を可能にする最強のメンタルスキルです。この感覚を育てることで、あなたの人生はより自由で、より豊かになるでしょう。

今日から、小さな選択で「どっちでもいい」を試し、あなた自身の心に余裕を作り出してみませんか?それが、大きな変化の第一歩になります。

カウジ

1981年、長野県生まれ。
地元の高校を卒業後、ゲームプログラマーを目指し上京するも
早々に挫折。その後、地元に戻ることなく短期契約の派遣で
生計を立てながら、模索の日々を過ごす。

そんな中、25歳の時に現在の会社に縁があり、
正社員として入社することに。
それからは、それとなく仕事をこなしながらも、
どこかで「自分のやりたいことは何か」と問い続ける日々が続く。

ようやく気づいたのは
「人の成長に貢献すること」が 自分の生き甲斐だということ。
40代を迎えたのを機にその思いを実現するため、学び直しを決意。

これまでに100冊ほどの書籍を購入し、知識を深める勉強を継続中。
このブログでは学びの過程で得た気づきや知識をアウトプットし、
読者の皆さまにも役立てていただければと考えています。

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