仕事を辞めてから、何年もたってしまった。もう40代の自分を、雇ってくれる会社はあるのだろうか。
求人を見つけても、「最近まで働いていた人と比べられたら厳しい」と、応募する前に閉じてしまうこともあると思います。
この記事の結論
長いブランクがあっても、40代で正社員に再就職した実例があります。ブランクのある経験者を募集する会社や、派遣で働いたうえで直接雇用を判断する紹介予定派遣もあり、応募できる条件を具体的に比べられます。
この記事では、再就職した人が何をしたのかを紹介したうえで、応募する仕事の選び方、必要な準備、面接でのブランクの伝え方を説明します。
10年のブランクがあっても、48歳で正社員に再就職した実例がある

厚生労働省が紹介する48歳の女性は、IT業界を離れてから10年間、働いていませんでした。技術の変化に知識が追いつかず、自信を失っていましたが、もう一度働きたいと思い、地域若者サポートステーション、通称サポステに相談しました。 [1]
なぜ再就職できたのでしょうか。
まず、個別面談を重ね、少しずつ就職活動に向かう気持ちを取り戻しました。次に、集団のプログラムで仲間に頼られたことが、自分にもできることがあると感じるきっかけになっています。
そのうえで、前職で身につけたWebデザインの経験を生かすと決め、自分で知識を学び直しました。不採用になった後も、担当者と間を置かず次の求人を選び、住宅メーカーのWebデザイナーとして正社員に就職しています。
この事例で参考にできるのは、自信が戻るまで一人で待たず、相談と学び直し、応募を並行していたことです。サポステは、仕事をしておらず就学中でもない15〜49歳が利用できる相談先です。「昔の経験が今の求人で使えるか分からない」と相談するところから始められます。 [9]
たとえば事務経験者なら、請求書作成や入金確認は担当経験として説明し、忘れているExcelの操作は練習用データで復習する。どの仕事に応募するかを相談しながら、必要な操作から準備できます。応募前にまとまった学び直しが必要なら、後の章で紹介する職業訓練も選択肢になります。
紹介予定派遣なら、働いたうえで直接雇用を判断できる

「再就職できた人はいる。でも、自分を採用してくれる会社はあるのか」。実例を読んでも、そう思うかもしれません。応募方法の一つとして知っておきたいのが、紹介予定派遣です。
私も、後に17年間勤めた会社には紹介予定派遣で入りました。ここでお伝えしたいのは、最初から直接応募して入社する以外の方法もある、ということです。
紹介予定派遣は、直接雇用を前提に、最長6か月間、派遣社員として働く仕組みです。その間に仕事内容や職場を知ることができ、会社も実際の仕事ぶりを見られます。双方が合意すれば直接雇用になります。 [2]
ただし、派遣で働き始める前にも書類選考や面接があります。また、直接雇用後は正社員とは限らず、契約社員の場合もあります。会社が採用を見送ることも、自分が辞退することもできます。 [3]
正社員を希望するなら、登録時に「紹介予定派遣で、直接雇用後は正社員になる求人を希望しています」と伝えましょう。あわせて、以前の仕事内容、仕事を離れていた期間、働ける曜日と時間も伝えます。
求人を紹介されたら、必要な経験と、直接雇用後の給与・勤務時間を派遣開始前に確認します。「紹介予定派遣だからブランクがあっても誰でも応募できる」のではなく、その求人の条件に合うかを判断することが大切です。
ブランクのある経験者を募集している会社もある

成功した一人の話だけでなく、現在の募集条件にも目を向けてみましょう。「以前の経験があれば応募できるのか」を、具体的に判断できます。
経理経験を生かせる求人は、担当業務から選ぶ
セルボ・クレールの税務会計スタッフ募集では、経理・記帳・会計の実務経験1年以上と、日商簿記2級以上または同等の実務経験を条件に、ブランクのある人も歓迎しています。資格を持っているだけで、実務未経験の人も対象になる募集ではありません。 [4]
完全リモート勤務で、正社員・契約社員・パートは応相談。週3日・1日4時間からの勤務も相談できます。担当件数を少なめにして始め、引き継ぎや業務の流れの説明を行うと案内しています。
以前の仕事を書き出すときは、「経理をしていた」だけでなく、仕訳入力、請求書作成、入金確認、月次決算のうち、どこまで担当していたかを挙げてください。その内容と求人の仕事内容を比べ、忘れている操作から復習すれば、準備する範囲を絞れます。
以前の会社に、元社員向けの採用制度があるかを見る
以前勤めていた会社が、退職した社員を再び採用する制度を設けている場合もあります。たとえば、アイホンのカムバック採用は、同社の元社員で60歳未満の人が対象です。雇用形態は正社員で、待遇は個別に決まります。 [5]
登録すれば必ず戻れるわけではありません。採用の必要がある仕事と登録内容が合った場合に連絡があり、面接などの選考を受けます。
「アルムナイ」は、企業では元社員を指す言葉です。「アルムナイ採用」「カムバック採用」は、退職者を再び迎える採用の呼び方で、対象や条件は企業によって異なります。「再雇用」も似た意味で使われますが、定年後の継続雇用を指す場合もあります。 [10] [11]
名称を覚えるより、自分が働いていた会社に元社員向けの募集があるか、どんな退職者が対象かを見るほうが役立ちます。
仕事を覚え直すなら、職業訓練や入社後の研修を活用する

応募前に必要な操作を練習したいのか、入社してから仕事を教えてもらいたいのかで、見るべき支援は違います。求人の「研修あり」は、入社前に教わるという意味とは限りません。
入社後に教えてもらえる求人を選ぶ
たとえば、アスモ介護サービス港南の正社員募集では、入職後約2か月、先輩社員が実際の仕事を教えるマンツーマン研修を案内しています。無資格で入職する人には、資格が不要な範囲の業務をしながら資格取得を進める支援があります。 [6]
ただし、仕事内容には入浴や排泄、移動の介助があり、勤務時間には夜勤も含まれます。掲載月給24万8,500円からの金額は、初任者研修修了者の資格手当や月5回の夜勤手当などを含む額です。無資格で入る場合や、夜勤ができない場合の給与は別に確認が必要です。
面接では、「最初の1か月は、誰に教わりながら、どの仕事を担当しますか」と聞くと具体的になります。分からないことを誰に聞けるかも確認しておきましょう。
応募前に学び直すなら、職業訓練を相談する
応募前にパソコンや経理事務を学び直したいなら、ハローワークで求職者支援訓練を相談できます。主に雇用保険を受給できない求職者などが対象で、求職申込みや受講の必要性の判断などが条件です。通常2〜6か月、受講料は無料ですが教材費などは自己負担です。 [8]
いきなりフルタイムで働くのが不安なときは

「週5日、朝から夕方まで働けるだろうか」が心配なら、短時間の仕事も候補になります。先ほどの経理の募集のように、経験のある仕事で勤務時間を相談できる求人もあります。
未経験から応募できる例では、ニトリグループのホームロジスティクス・名古屋カスタマーサービスセンターが、商品点検のパート・アルバイトを1日3時間から・週2日から募集しています。40代・50代も活躍中と案内しています。 [7]
仕事には商品の開梱、組み立て、梱包なども含まれます。勤務時間だけでなく、作業の負担や、希望するシフトで得られる月収も比べてください。社員登用制度の記載はありますが、正社員への切り替えが約束されるものではありません。
最初から正社員の収入が必要なら、無理にパートを経由する必要はありません。正社員求人や、直接雇用後の条件が希望に合う紹介予定派遣を優先できます。
まだ働ける日数や時間を決められない場合は、最初に紹介したサポステで「毎日通えるか不安があるので、働き方から相談したい」と伝えられます。 [9]
面接では、ブランクの理由だけでなく「今できる仕事」を伝える

「しばらく働いていませんが、頑張ります」だけでは、応募先はどんな仕事を任せられるか判断できません。空白期間の説明は短くし、次の4点を事実に沿って準備しましょう。
- 仕事を離れた理由:介護、育児、休養など、実際の理由を簡潔に説明する。
- 今働ける条件:勤務できる曜日・時間と、その時間を確保できる現在の状況を伝える。
- 以前担当していた仕事:「事務」だけでなく、請求書作成や入金確認など、自分で担当した作業を挙げる。
- 現在の準備:復習した操作や、実際に作った練習資料があれば、何をしたかを伝える。
介護サービスの利用で勤務時間を確保でき、Excelの復習もした人なら、たとえば次のように説明できます。
「家族の介護のため、仕事を離れていました。今は平日の日中に介護サービスを利用しており、9時から17時まで勤務できます。前職では請求書の作成と入金確認を担当し、入金額が合わないときは営業担当に確認していました。最近は練習用の売上データを作り、Excelでの集計を復習しています」
例文は自分の事実に置き換え、準備がまだなら必要な操作から練習し、できたことをそのまま伝えます。
休養からの復帰などで勤務上の配慮が必要なら、働ける時間や相談したい条件を具体的に伝えましょう。私生活の細部を長く説明するより、「どの条件なら働けるか」を応募先とすり合わせることが大切です。
ブランクの年数だけで、応募を諦めなくてよい
まずは、以前担当していた仕事と、今働ける曜日・時間を書き出してみてください。それを持って紹介予定派遣の相談をする、経験者を募集している会社に応募する、以前の会社の再雇用制度を調べる。応募までにできることは具体的にあります。
仕事を離れていた期間を隠す必要はありません。求人が求める仕事に対して、担当した経験を自分の言葉で伝えましょう。復習や準備をしたことがあれば、それも添えてください。
参照した資料
[1] 厚生労働省:10年間のブランク後、48歳で正社員に再就職した女性の支援事例
[2] テンプスタッフ:紹介予定派遣の仕組みと就業までの流れ
[4] セルボ・クレール:完全リモート・税務会計スタッフの募集
[7] ニトリ公式採用情報:名古屋カスタマーサービスセンター・商品点検作業スタッフ
[10] マツダ:アルムナイ採用の開始とカムバック採用サイト
求人・制度の掲載内容は2026年10月21日に確認しています。募集の継続状況や勤務条件、利用要件は、応募・相談時に公式窓口でご確認ください。