「長く働いてきたのに、職務経歴書に何を書けばいいのか分からない」
そんなときは、最初からきれいな文章を作ろうとせず、これまでの仕事を広く出すところから始めます。
結論
経歴を広く整理し、募集要項を読み、応募先に関係する経験を選びます。そのうえで、社内だけで通じる言葉を相手に伝わる言葉へ直し、担当したこと・工夫・結果を具体的にして職務経歴書にします。

経歴や在籍期間は正確に残し、応募先に関係する経験を詳しく見せます。
この記事では、架空のAさんを例に、経歴の整理から求人に合う経験の選び方、職務要約・職務経歴本体・自己PRの書き分けまで紹介します。AIを使う場合も、どの経験を伝えるかは自分で選び、下書きの内容を確かめて仕上げます。
1.これまでの経歴を広く整理する
最初に、これまで担当してきた仕事を職務経歴書の原材料として広く出します。
この記事では、職務経歴書へつなげるために必要なところまで絞って進めます。
AIと一緒に整理したい方は、3章(6)の折りたたみ内にある指示文を工程1から使えます。
(1) 会社・役割・担当した仕事を書き出す

まず、次のような事実を出します。
- いつ、どの会社・部署で働いたか
- どんな役割だったか
- 日常的に担当していた仕事
- 人からよく頼まれていた仕事
- 改善したこと
- 人へ教えたこと
- トラブル時に対応したこと
- 他部署や取引先と調整したこと
- プロジェクトで担当したこと
この段階では、応募先に使うかどうかを決めず、担当してきた仕事を複数残します。
(2) 数字がない仕事も、担当・工夫・結果まで残す
数字で確認できる成果がある場合は、その数字を残します。
数字がない仕事では、次の順番で整理します。
- 何を担当したか
- どんな状態だったか
- 自分が何を考え、どう動いたか
- その後どうなったか
たとえば「後輩へ仕事を教えた」に加えて、「どこで困っているかを聞いた」「相手の理解を確認した」「相手に合わせて説明した」まで残せば、その人がどう仕事を進めるのかが見えてきます。
職務経歴書で伝える人柄も、こうした実際の行動から作ります。
(3) 私の例|約2時間の定型集計が約15分になった
私には、約2時間かかっていた定型集計を約15分まで短縮した経験があります。外部サービスへ約1万円で処理の骨格作成を依頼し、依頼する範囲は自分で決めました。実データは渡さず、受け取ったものを自分の実データで動作確認しました。
職務経歴書には、処理時間の変化とともに、依頼範囲の判断、情報の扱い、動作確認まで自分が担当したことを残します。
2.応募先の募集要項を読む
経歴を広く出したら、応募先が何を求めているかを確認します。
ここで見るのは、主に次の項目です。
- 主な仕事内容
- 必須経験
- 歓迎経験
- 求められる役割
- 使用するツール
- マネジメントの有無
- 業務改善や企画が含まれるか
(1) 求人に書かれた事実と仮説を分ける
たとえば求人に「業務改善経験を歓迎」と書かれていれば、これは求人に明記された事実です。そこから「既存の仕事を見直せる人を求めているのかもしれない」と考えた部分は仮説として分けます。
求人に書かれていることと、自分の解釈を混ぜないようにすると、どの経験を職務経歴書へ出すか判断しやすくなります。
転職先そのものをどう確認するかは、こちらの記事で扱っています。
3.合う経験を選び、職務経歴書へ落とし込む
ここからは、すべて架空の作例です。
まず、架空のAさんについて、職務経歴書を作る前に分かっている原材料を置きます。
架空の原材料
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 在籍期間 | 2018年4月〜2024年3月 |
| 会社 | 株式会社サンプル物流 |
| 部署 | 営業企画部 |
| 役割 | 事務担当 |
| 担当1 | 月次売上データの集計 |
| 担当2 | 集計に必要な内容を関係部署へ確認し、回答内容を集計へ反映 |
| 担当3 | 月次集計の作業手順の見直し |
| 担当4 | 新しく担当する人への月次集計手順の説明 |
| 数字で確認できる成果 | 特になし |
担当3の「作業手順の見直し」については、もう少し具体的な事実があります。
見直し前
月次集計で、関係部署へ確認する内容、回答を反映する場所、集計を進める順番が複数のメモに分かれていました。
Aさんが行ったこと
関係部署への確認、回答の反映、集計という作業の流れに沿って、手順を整理しました。
見直し後
月次集計の流れを順番に確認できる状態にし、新しく担当する人への説明にも使いました。
担当4の「新しく担当する人への説明」では、次のように進めました。
- まず、どこで困っているかを聞く
- 相手の話を途中で遮らずに聞く
- 自分の理解が合っているか確認する
- 相手の理解状況に合わせて説明する
これらもAさんの架空の原材料です。
「優しい」「コミュニケーション力が高い」といった評価語を先に置くのではなく、実際にどう相手へ接したのかを材料として残します。
以下の完成例では、この原材料にある事実だけを使います。

同じ経歴でも、応募先に合わせて詳しく伝える経験と順番を変えます。ここからは、図の求人Aを使って職務経歴書を作ります。
(1) 社内用語を、相手に通じる言葉へ直す
社内独自の帳票名やプロジェクト名をそのまま書くより、
- 何のための仕事か
- 誰と関わる仕事か
- 自分は何を担当したか
が伝わる言葉へ直します。
たとえば「○○管理表を担当」という社内向けの表現なら、「月次売上データを集計し、必要な内容を関係部署へ確認して回答を反映」というように、採用側が仕事を想像できるところまで具体化します。
(2) 実績を、担当・工夫・結果で具体化する
Aさんには、数値で確認できる成果はありません。
その場合は、
担当
月次売上データを集計し、関係部署へ確認して回答を反映した。
工夫
確認から集計までの作業手順を、実際の流れに沿って整理した。
結果
整理した手順を、新しく担当する人への説明にも使用した。
という形で、確認できる事実をつなげます。
数字がある仕事は数字を使い、数字がない仕事は「何を担当し、何を工夫し、その後どうなったか」を具体的にします。
(3) 人柄は、相手への接し方で伝える
自己PRで人柄を伝えるときは、「優しい人です」「コミュニケーション力があります」と評価語だけを書くより、相手へどう接したかを書きます。
Aさんの場合、新しく担当する人へ手順を説明するときに、まず困っている箇所を聞きました。
相手の話を途中で遮らずに聞き、自分の理解が合っているかを確認してから、相手の理解状況に合わせて説明しました。
このエピソードなら、「相手の話を聞きながら状況を把握し、伝え方を調整する」という仕事の進め方を、実際の行動から伝えられます。
(4) 求人要件と使う経験を対応させる
職務経歴書を書く前に、求人と原材料を対応させます。
ここでは、架空求人Aが、「業務手順を見直し、部署と調整できる人」を求めている設定にします。
| 求人要件 | 選ぶ経験 | 完成文の抜粋 |
|---|---|---|
| 業務手順を見直せる | 複数のメモに分かれた月次集計手順を作業順に整理し、新担当者への説明にも使用 | 関係部署への確認から回答反映、集計までを作業順に整理し、一連の流れを順番に確認できるようにしました。 |
| 部署と調整できる | 集計に必要な内容を関係部署へ確認し、回答を反映 | 集計に必要な内容を関係部署へ確認し、回答内容を集計へ反映 |
求人Aでは、手順の見直しと関係部署への確認を詳しく書きます。新担当者への説明は担当業務として簡潔に残し、自己PRでは、整理した手順を使って相手にどう説明したかを取り上げます。
(5) 架空求人A向けの完成見本
三つの欄は、それぞれ役割を分けます。
職務要約
応募先に関係する経歴を短く伝える。
職務経歴本体
担当範囲、工夫、その後の変化を書く。
自己PR
応募先で役立つ強みを行動で伝える。
完成見本|職務要約
2018年4月から2024年3月まで株式会社サンプル物流の営業企画部で事務を担当しました。月次売上データの集計や関係部署への確認を担当し、月次集計の作業手順の見直しも経験しました。
完成見本|職務経歴本体
2018年4月〜2024年3月
株式会社サンプル物流
営業企画部/事務担当
担当業務
- 月次売上データの集計
- 集計に必要な内容を関係部署へ確認し、回答内容を集計へ反映
- 月次集計の作業手順の見直し
- 新しく担当する人への月次集計手順の説明
実績・工夫
月次集計では、確認事項、回答の反映先、集計の順番が複数のメモに分かれていました。関係部署への確認から回答反映、集計までを作業順に整理し、一連の流れを順番に確認できるようにしました。整理した手順は、新しい担当者への説明にも使用しました。
完成見本|自己PR
月次集計を新しく担当する人への引き継ぎでは、最初に困っている箇所を尋ね、話を最後まで聞きました。聞き取った内容に認識違いがないかを確かめたうえで、作業順に整理した手順を使い、相手の理解に合わせて説明しました。手順の整理から、担当者の状況に合わせた説明まで担当した経験があります。
(6) AIで下書きを作る
AIを使う場合も、一度に完成文を作るより、
- 全経歴を整理する
- 求人を整理する
- 求人と経験の対応を本人が選ぶ
- 下書きを作る
- 本人確認後、採用するエージェントの指摘を反映する
の順に進めます。
AIへ入力する前に、氏名・個人情報・社内機密を含めず、会社名や顧客名も仮名へ置き換えます。
AIで「経歴整理→求人との対応→職務経歴書の下書き」まで進める指示文
以下の手順で、私の職務経歴書作成を手伝ってください。
【共通ルール】
- 質問は一つずつしてください。私が答えるまで次へ進まないでください。
- 私が入力していない仕事、役職、担当範囲、成果、数字、資格、感情は追加しないでください。
- 不明な内容は「要確認」としてください。
- 会社や顧客は「A社」「顧客B」などの仮名で扱ってください。
- 職歴や在籍期間を変更しないでください。
- 在籍した会社と期間は全社分残し、応募先に関係する経験を詳しく、それ以外は簡潔にまとめてください。
【工程1:全経歴の素材を集める】
まず、これまで経験した会社・部署・期間・役割を大まかに聞いてください。
その後、担当業務を一件ずつ取り上げ、次の内容を一問ずつ確認してください。
- 具体的に何をしたか
- 誰に関わる仕事だったか
- どこまで自分が担当したか
- その仕事を始める前はどんな状態だったか
- どんな工夫や判断をしたか
- 確認できる成果や変化
- 具体的なエピソード
- 人へ説明、調整、支援した場面では、相手にどうアプローチしたか
人へ説明した場面では、
- 最初に何を聞いたか
- 相手の話をどう聞いたか
- 相手の理解をどう確認したか
- 説明の仕方をどう変えたか
も質問してください。
一つの担当業務が終わったら、次の業務へ進むか確認してください。
【工程2:求人を整理する】
私が募集要項を貼ったら、
- 主な仕事内容
- 必須要件
- 歓迎要件
- 求められる役割
を、求人に明記された事実として整理してください。
そこから考えられる内容は「仮説」と分けてください。
【工程3:求人と経験を対応させる】
求人の各項目と、私の職務経験のどの部分がつながりそうか候補を示してください。
候補ごとに、根拠にした私の経験を示してください。
さらに、
- 今回詳しく書く経験
- 今回簡潔にする経験
の候補を分けてください。
この段階では職務経歴書を完成させず、私が使う経験を選ぶまで待ってください。
【工程4:職務経歴書の下書きを作る】
私が使う経験を選んだら、私が回答した事実だけを使って、
- 職務要約
- 職務経歴本体
- 自己PR
の下書きを作ってください。
3つの役割は次のように分けてください。
職務要約:
これまで何をしてきた人なのかを短くまとめる。
職務経歴本体:
担当した仕事、工夫、確認できる結果を具体的に書く。
自己PR:
応募先で役立つ強みが伝わる具体的なエピソードを書く。私が回答した行動や考えを使ってください。
社内用語は、社外の人にも仕事内容が分かる言葉へ直してください。
同じ経験を複数の欄で使う場合は、職務要約では要点を短く、職務経歴本体では担当・工夫・結果を詳しく、自己PRでは応募先で役立つ強みが伝わる行動を取り上げてください。
【工程5:エージェントの指摘を反映する】
私が転職エージェントから受けた指摘を入力します。
まず、
- 求人で伝えるとよい経験
- 意味が伝わりにくい言葉
- 追加確認が必要な事実
に整理してください。
私が採用すると決めた指摘だけを反映してください。
反映前に元の職務経歴と矛盾していないか確認し、事実が足りない場合は一問ずつ私へ質問してください。
4.自分で確かめ、エージェントの意見で仕上げる

AIで下書きを作ったら、まず本人が元の経歴と照らします。
そのあと、必要に応じて転職エージェントから、実際の求人を基準に意見をもらいます。
(1) 本人が事実を確認する
確認するのは、主に次の点です。
- 在籍期間や会社・部署は合っているか
- 自分が担当した範囲が広がっていないか
- チームの成果を自分一人の成果にしていないか
- 数字や資格が追加されていないか
- 社内用語を言い換えた結果、元の意味が変わっていないか
- 面接で具体的に聞かれたとき、自分の言葉で説明できるか
- 自己PRに書いた行動を、自分が実際に行ったと言えるか
本人が説明できる事実だけを残します。
(2) エージェントの指摘を反映する
次に、実際の求人を扱う転職エージェントへ見てもらいます。
たとえば、次の点を聞きます。
- この求人では、どの経験を詳しく伝えると仕事内容とのつながりが分かるか
- 採用側に意味が伝わりにくい言葉はどこか
- 判断するために足りない事実は何か
指摘を受けたら、自分の原材料と照らします。
本人が採用すると決めた内容だけを修正へ使い、追加の事実が必要なら自分で確認してから書き足します。
経験そのものが社外でどんな仕事につながるか整理したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
書類の添削だけでなく、求人紹介や条件交渉まで頼みたい方は、転職エージェントの活用術も参考にしてください。
5.空白期間や転職回数が気になるときは、必要な事実を短く伝える
会社名や在籍期間は正確に書きます。
経緯を補う必要がある場合は、確認できる事実を短く添えます。
(1) 空白期間がある場合
以下は架空例です。
記載例
2018年4月〜2024年3月 株式会社サンプル物流勤務
2024年4月〜2024年9月 家族の事情により離職期間
2024年10月〜 求職活動開始
補足する場合は、
「家族の事情により2024年4月から9月まで就業していませんでした。2024年10月から求職活動を開始しています。」
と事実を短く書きます。
学習、仕事、資格取得などは、実際に行ったものを記載します。
(2) 転職回数が多い場合
こちらも架空例です。
A社からB社へは受発注業務まで経験を広げるため転職。
B社からC社へは営業企画業務に携わるため転職。
職歴の記載例
2013年4月〜2017年3月 株式会社サンプルA 営業事務
2017年4月〜2020年12月 株式会社サンプルB 受発注事務
2021年1月〜2024年3月 株式会社サンプルC 営業企画事務
経緯を補う場合は、
「営業事務の経験後、受発注業務まで経験を広げるため株式会社サンプルBへ転職しました。その後、営業企画業務に携わるため株式会社サンプルCへ転職しました。」
とまとめます。
(3) 肩書きと実際の担当範囲が違う場合
肩書きと一緒に、実際に担当した範囲を書きます。
正式な肩書きが付いていない仕事でも、実際に担当した仕事は職務内容として記載できます。
チーム全体の成果を使う場合は、自分が担当した部分を分けて書きます。
まとめ
職務経歴書は、次の順番で作ります。
- これまでの経歴を広く出す
- 募集要項を読む
- 応募先に関係する経験を選ぶ
- 社内用語を相手に伝わる言葉へ直す
- 担当・工夫・結果を具体化する
- 職務要約・職務経歴本体・自己PRの役割を分ける
- AIで下書きを作る
- 自分で事実を確認する
- 必要に応じてエージェントの指摘を反映する
まずは、これまで担当してきた仕事を箇条書きにしてください。
次に一社の募集要項を開き、「この会社が求めている仕事と、自分のどの経験がつながるか」を対応させます。
選んだ経験をもとに一社分の下書きを作り、自分の言葉で説明できる内容になっているか確かめます。
