退職日に挨拶へ行くと傷病手当金はどうなる?出勤扱いを先に確認したい理由

退職日が近づくと「最後くらいお世話になった方へひとこと挨拶に行った方がいいかな」と考える人もいるはずです。休職して迷惑をかけたまま、顔も出さずに辞めるのは無責任で、不義理な気がしてしまう。私も、そのくらいなら傷病手当金には関係ないだろうと思っていました。

退職日の行動が「出勤」と扱われると、退職日の翌日以降の傷病手当金を受けられなくなる可能性があります。一方で、今回考えさせられたのは、身体は休んでいるのに、「最後くらいちゃんとしなければ」と会社へ戻ろうとする自分の責任感の方でした。

この記事では、退職日の出勤と傷病手当金の条件を確認しながら、その奥にある罪悪感や責任感とどう距離を取るかも考えます。

私は2026年8月31日付で会社を退職します。退職後も傷病手当金の継続給付を受ける前提で手続きを確認している途中ですが、そこで見過ごせない条件を知りました。

カウジカウジ

挨拶は仕事じゃないし、ちゃんとしないと心残りだし。最初はそう思っていました。

 

目次

退職日に出勤すると継続給付へ影響する

傷病手当金は条件を満たせば、退職後も残りの支給期間について継続して受けられます。

協会けんぽは、資格喪失後の継続給付について、主に次の2点を案内しています。

  • 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること
  • 資格喪失時に傷病手当金を受けているか、受ける条件を満たしていること

ただし2つ目の条件は、退職日に出勤した場合は条件を満たさず、退職日の翌日以降の傷病手当金は支払えないと明記されています。

私は最初、退職日に出勤したら「その1日分が出ない」という意味だと思いかけました。実際は、その日だけではなく、退職後の継続給付そのものに関わる条件です。

8月31日に退職する私にとって、最後の挨拶をどうするかより先に確認するべき内容でした。
あぶないあぶない。

「最後に挨拶だけ」でも出勤扱いなら注意が必要

日本郵政共済組合には「退職日に勤務先へ挨拶に行く予定です」というFAQがあります。

その回答では、挨拶や辞令交付だけの場合でも、その行為が出勤に該当すれば傷病手当金は不支給になると案内されています。出勤かどうかは勤務先が判断するという説明です。

そのため、「仕事はしないから大丈夫」「10分だけだから大丈夫」と、自分だけで決めるのは避けるべき。

一方で、会社へ顔を出したら全員が自動的にアウト、という単純な話でもなさそう。確認するべきなのは、その行為が勤怠上どう扱われるかです。

責任感が強い人には、むしろ「行かない理由」ができた

最後に挨拶へ行かないのは不義理ではないか。そう迷っている人にとって、退職日の出勤に関するルールは、ある意味で朗報です。

退職後の継続給付を守るには、退職日に「出勤」と扱われる行動を避ける必要があります。気持ちの問題ではなく、制度の条件として確認するべきことです。

まず勤務先へ、挨拶や貸与品の返却で立ち寄った場合に出勤扱いになるかを確認します。出勤扱いになるなら会社へは行かず、貸与品は郵送など別の方法で返せないか相談すればいい。

制度の条件を知れば、「挨拶へ行かない自分は無責任だ」ではなく、「退職後の生活を守るために行かない」と判断できます。

それでも心に引っかかるのは、会社から悪く思われたくないから

制度上は行かない方がいい。そう分かっても、「お世話になった人へ挨拶もしないのか」「休職して迷惑をかけたまま辞めていいのか」という思いは残ります。

カウジカウジ

会社は辞めるのに、オレはいつまで「ちゃんとした会社員」を続けるつもりなんだ。

ここで分けて考えたいのは、頭に浮かんだ言葉と、実際に起きていることです。

「挨拶に行かない自分は無責任だ」と思ったとしても、それだけで無責任な人間になったわけではありません。「きっと悪く思われる」も、まだ誰にも言われていないなら、今のところは頭の中でつくった話です。

鈴木祐さんの『無』という本に重ねて考えるなら、こうした不安や罪悪感を自分そのものだと思わず、いったん眺めてみる。責任感が「行け」と言ってきても、その声に従うかどうかは別に決められます。

カウジが実際に読んだ鈴木祐『無(最高の状態)』旧版
鈴木祐『無(最高の状態)』2021年版

私もこの本を読みました。私が持っているのは旧版ですが、現在は大幅に加筆・再編集され、図表も加わった最新版『最高の状態 無』が出ています。これから読むなら、きっと最新版の方が読みやすいはずです。

※上記リンクはAmazonアソシエイトリンクです。

罪悪感が消えるまで待つ必要はありません。心に引っかかりが残ったままでも、会社へ行かない選択はできます。

罪悪感があることと、悪いことをしていることは同じではない。

責任感は、仕事を続けるうえで何度も自分を助けてくれたはずです。でも、休職するほど消耗したあとまで会社の評価を優先させるなら、そろそろ使いどころを変えた方がいい。この会社には、もうどう思われたってどうでもいい。これからの時間は、自分の生活を守るために使います。

そのために、まず「どこまでが自分の責任なのか」を分けます。

どこまでが自分の責任なのかを分ける

退職手続きを全部自分の責任として抱えると、何を断ってよいのか分からなくなります。そこで、私は次のように分けて考えます。

  • 自分の問題:退職後の生活、療養、傷病手当金の条件を守ること
  • 会社と相談する問題:貸与品の返却方法、必要書類、勤怠上の扱い
  • 相手の問題:挨拶に来なかった自分を、相手がどう評価するか

貸与品を返す責任はあります。ただし、退職日に直接持っていく以外の方法を相談できます。

感謝を伝えたいなら、メールや電話という方法もあります。直接会わなければ感謝にならない、と決める必要はありません。

そして、挨拶に来なかった自分を誰かがどう思うかまで、こちらが管理することはできません。

退職後の生活は自分の責任です。でも、相手の感情まで自分の責任にしなくていい。

退職日前に勤務先と保険者へ確認したい5項目

退職後の継続給付を考えていて、最終日に会社へ行く可能性があるなら、私は次の5項目を確認します。

  1. 退職日は勤怠上「出勤」になるのか
  2. 挨拶、辞令受領、パソコンや社員証の返却だけでも出勤扱いになるのか
  3. その日に給与が発生する扱いなのか
  4. 貸与品は郵送や別日の返却にできるのか
  5. 加入している健康保険では、退職日の状態をどう判断するのか

日本郵政共済組合のFAQでは、出勤か否かについて給与支給の有無を示し、勤務先が判断すると説明しています。ただし、この説明をすべての健康保険へそのまま当てはめず、自分の勤務先と加入先へ確認するのが安全です。

会社へ確認するときの聞き方

会社へ確認するなら、私は次のように聞きます。

退職後の傷病手当金の継続給付について確認しています。退職日に貸与品の返却や挨拶のため会社へ立ち寄った場合、勤怠上の出勤扱い、または給与支給の対象になりますか。

傷病手当金を受けられるかどうかの最終判断を会社へ求めるのではなく、会社が判断できる「勤怠と給与の扱い」を確認する聞き方です。

その回答を確認したうえで、加入している健康保険へ「この扱いで資格喪失後の継続給付の条件を満たすか」を確認します。

会社へ行かない選択をする場合は、貸与品の返却物、送付先、追跡できる発送方法、送料の扱いも人事へ確認します。勝手に郵送せず、別の方法で必要な手続きを完了させればいいだけです。

自分を壊す責任感なんてクソくらえだ

退職日に会社へ行かないことは、逃げでも恩知らずでもありません。感謝はメールでも伝えられ、貸与品は会社と相談して返却できます。一方、退職後の生活を支える制度は、「最後くらい顔を出したかった」という善意を考慮してくれるとは限りません。

休職するほど消耗したのに、最後だけは会社から悪く思われないように動こうとしている。だったら、その責任感を止めるのも自分の仕事です。自分の生活を危険にさらしてまで果たす責任感なんて、クソくらえだ。

最後までいい会社員でいるより、これからの自分を守ってください。まず勤務先へ退職日の勤怠上の扱いを確認し、そのうえで加入している健康保険へ継続給付の条件を確認する。それが今日できる一歩です。

退職後の生活をどこまで準備すればよいか迷う人は、次の仕事が決まっていなくても辞めていい人の4条件も参考にしてください。

※この記事は2026年8月30日時点の公表情報と、筆者自身が退職手続きを進める中で確認した内容をもとにしています。傷病手当金の支給可否や出勤の扱いは個別の状況によって異なります。勤務先と加入している健康保険へ確認してください。

参考情報・参考書籍

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次