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40代以降、次の仕事が決まっていなくても辞めていい人の4条件

机でノートを広げ、次の人生設計を考えるカウジ

関連記事:退職せず転職する選択肢も比較したい場合は、40代の転職を成功させる完全ガイドも参考にしてください。

「次の仕事が決まるまで、会社を辞めてはいけない」

これは、だいたい正しい。

収入を切らさずに転職できるなら、その方が安全だ。会社員という信用も使えるし、焦って次の職場を選ばずに済む。

それでも私は、44歳で次の仕事を決めずに会社を辞めた。

転職先はない。副業収入もない。独立の準備なんて、もってのほか。胸を張れるような事業計画もない。

あったのは、金融資産2,800万円、妻との合意、そして「このまま働き続ける方がしんどい」という感覚だった。

ただ、そこへ至るまでの順番は、決して人に勧められるものではなかった。

この記事は、そんな私の退職をあとから分解したものだ。

少なくとも、私と同じ順番は勧めない。

そのうえで、在職中に転職活動も副業も進められない人が、先に辞めるなら何を揃えるべきか。私の結論は、次の4条件だ。

ただ、ここまで書くと、私が4つの条件を冷静に揃え、満を持して会社を辞めたように見えるかもしれない。

実際は、そんなにきれいではなかった。

先にあったのは、「もう辞めたい」だった。

会社へ行きたくない。派遣社員の世話や、他人の尻拭いに残りの会社員人生を使いたくない。帰宅しても仕事を思い出す。午前3時に目が覚める。言葉が出てこない。

資産を計算したのも、妻と撤退ラインを決めたのも、そのあとだ。

つまり私は、4条件を揃えたから辞めたのではない。

辞めたいという感情で家族まで巻き込まないために、最低限の条件をあとから揃えた。かなり順番が悪い。

診断書を受け取ったときも、「治療しなければ」より先に、「ああ、これで辞められる」と思った。病名を治療開始の合図ではなく、退職許可証のように感じてしまった。

副業収入はゼロ。会社を辞めたあとの仕事も決まっていない。2,800万円はあるが、FIREするには少ないと思っていた。

それでも辞めた。

だから、これから紹介する4条件は、計画的に退職した優秀な人間の成功法則ではない。

感情で会社を辞めようとした44歳が、完全な無計画だけは避けるために設置したガードレールだ。

目次

結論:次の仕事なしで辞めるなら、この4条件を数字で決める

  1. 配偶者・家族と、収入が途切れる期間まで含めて合意している
  2. 税金・社会保険料を含め、最低24か月分の生活費がある
  3. 心身に不調があるなら、次の挑戦より治療を優先する
  4. 「いつ再就職するか」という撤退ラインを決めている

4つとも、「たぶん大丈夫」では弱い。

家族は賛成してくれるだろう。生活費は何となく足りるだろう。投資は年10%くらい増えるだろう。副業も半年あれば月200,000円くらいいくだろう。

この「だろう」を4つ重ねた瞬間、退職は自由への一歩ではなく、ただの無計画になる。

私はかなり無責任な人間だが、さすがに妻の人生まで「たぶん」で巻き込む気はなかった。

「次を決めてから辞める」が原則なのは間違いない

次の仕事を決めてから辞めれば、収入の空白を作らずに済む。預貯金を崩す焦りもなく、条件の悪い会社へ飛びつく可能性も下げられる。

私自身、43歳のときは在職中に転職し、年収600万円から800万円へ上がった。物流管理・物流企画・倉庫管理から、異業種のサポートセンターへの転職だった。

40代でも、異業種でも、転職できる。だから「会社を辞めたら二度と戻れない」は思い込みだ。

ただし、誰もが在職中に転職活動や副業を並走できるわけではない。

私は、複数のことを同時に進めるのが苦手だ。会社で派遣社員の世話やトラブル対応に神経を使い切ると、帰宅後に自分の将来を作る力が残らなかった。

「在職中に副業を育ててから辞めましょう」は正論だ。しかし、正論を実行できないほど消耗している人に、正論を追加しても前には進まない。

だから私は、全員に勧めるつもりはないが、条件を満たす人には「先に時間を取り戻す」という選択肢があっていいと思っている。

条件1:配偶者・家族と「本音と数字」で合意している

妻に退職を相談したとき、私は完全に中立ではなかった。

「辞めるかどうかを一緒に考えてほしい」というより、「もう辞めたい。できれば認めてほしい」という状態だった。

妻が反対しにくい空気を、無意識に作っていた可能性もある。

共働きで子どもはいない。住宅は賃貸で、住宅ローンもない。妻は普段から私の行動を尊重してくれる。それでも、「会社を辞めたい」と伝えるだけでは合意にならない。

話したのは、少なくとも次の内容だ。

  • 退職後も、私が負担してきた生活費の割合は変えない
  • 当面はすぐに転職せず、治療と生活の立て直しを優先する
  • 金融資産が2,100万円になったら再就職活動を始める
  • 2,000万円を割る前に、正社員として働く状態へ戻す

幸い、妻からは「2,000万円までなら、好きなことをやってみればいい」と言ってもらえた。

ただし、これをもって「家族の合意は取れた。だから問題ない」と片づけるのは、自分に都合がよすぎる。

感情だけで押し切らないために、あとから数字を置いた。

大切なのは、理解のある配偶者を持つことではない。相手が反対しにくい空気を作って「賛成したこと」にするのでもない。

収入がなくなる期間、生活費の負担、最悪の場合の戻り方まで見せたうえで、相手が本音で合意していることだ。

独身なら、この条件が消えるわけではない。自分が倒れたときに誰へ影響が出るのか、親への支援や借入返済はないかまで確認する必要がある。

条件2:税金・社会保険料込みで24か月分の生活費がある

私の通常の生活費は、月200,000〜250,000円ほどだ。

家賃88,000円、食費50,000円、交際費30,000円。ほかに水道光熱費、通信費、医療費、日用品、サブスクなどがある。車はなく、民間保険料もない。

ここだけを見れば、24か月分は4,800,000〜6,000,000円になる。

しかし、退職後の資金計画で危険なのは、「今の手取りから毎月使っている金額」だけを生活費だと思うことだ。

会社を辞めても、住民税がすぐゼロになるわけではない。健康保険も自分で加入先を選んで保険料を払う。20歳以上60歳未満で厚生年金を外れれば、原則として国民年金への切り替えも必要になる。

健康保険には任意継続、国民健康保険、家族の扶養という選択肢があり、保険料の決まり方も違う。任意継続では、在職中に会社と折半していた保険料を原則として全額自分で負担する。

つまり必要なのは、食費を24倍した数字ではない。

生活費+住民税+健康保険+国民年金+医療費+臨時支出を、退職後の年ごとに見積もった24か月分だ。

私は金融資産2,800万円だったから辞められた。2,000万円なら、もう少し踏ん張っていたと思う。

ここは格好をつけても意味がない。2,800万円でも十分なFIRE資金とは思っていないし、相場が上がり続ける保証もない。投資の含み益を、給料と同じ安定収入として数えるのは危険だ。

条件3:不調があるなら、次の挑戦より治療を優先する

私は退職を決める前後で心療内科を受診し、適応障害と診断された。

仕事を考えると朝に動悸が出る。午前3時ごろに目が覚め、普段7時間ほど眠れていたのが3時間ほどになる。言葉が出にくくなり、同じ質問を繰り返し、会社名さえ正しく書けないことがあった。

一方で、食欲はあり、見た目には普通に生活できていた。だからこそ、自分でも不調を軽く扱いやすかった。

当時の私は、診断書をもらったときに「ああ、この理由で辞められる」と感じた。正直に言えば、病名を治療開始の合図より、退職許可証のように受け取っていた。

これは私の危うかった点だ。

不調がある人が先にやるべきことは、ブログでも副業でも転職活動でもない。医師に状態をありのまま伝え、療養することだ。傷病手当金も、療養のため働けない期間の生活を支える制度であり、副業を始めるための資金ではない。働けるかどうかや給付の可否は、自己判断ではなく医師・保険者へ確認する必要がある。

「会社を辞めれば元気になるはず」と決めつけず、回復後に次の仕事や活動を考える。この順番は崩さない方がいい。

条件4:再就職する撤退ラインを、辞める前に決めている

私は副業で月200,000円を作り、資産運用と組み合わせてサイドFIREへ戻ることを目標にしている。

ただし、それは目標であって、生活設計の前提ではない。

ブログが伸びないかもしれない。コーチングにお金を払ってくれる人が現れないかもしれない。株価が下がり、2,800万円が想定より早く減るかもしれない。

そこで妻と決めたのが、次の撤退ラインだ。

  • 金融資産2,100万円:再就職活動を始める
  • 金融資産2,000万円:割る前に正社員へ戻る

2,000万円を割ってから慌てて求人を見るのでは遅い。だから100万円手前から動く。

撤退ラインは、「夢を諦める数字」ではない。挑戦が失敗しても家族の生活を守るための数字だ。

会社では、120%の労力を使って90点の資料を作る人がいた。私は70%の労力で55点まで作り、その場で交渉して60点にするタイプだった。合格点が60点なら、90点と60点の差である30点分は、次の仕事へ回せる。

退職計画も同じだと思う。完璧なFIRE資金が貯まるまで耐える必要はない。しかし、合格点と撤退ラインは必要だ。

私にとっての合格点は、妻の合意、24か月分の生活資金、治療優先、そして2,100万円という再就職ラインだった。

逆に、今は先に辞めない方がいい人

次のどれかに当てはまるなら、私は「まず辞めよう」とは言えない。

  • 配偶者や家族へ、収入がなくなる期間を隠している
  • 住宅ローン、教育費、親への支援など、止められない支出を把握していない
  • 税金・社会保険料を含めた退職後の生活費を計算していない
  • 株価が毎年10%以上上がる前提で資金計画を作っている
  • 公的給付を受けながら働けるかを自己判断しようとしている
  • 辞めたい理由が「何となく嫌」だけで、辞めたあとに何から離れたいのか言葉にできない
  • 資金が減ったときの再就職ラインを決めていない

この状態で辞めると、自由になった翌日から、お金と家族への罪悪感に追われる可能性が高い。

先に辞めること自体が無責任なのではない。数字を見ず、家族と話さず、戻る条件も決めないことが無責任なのだ。

40代の退職は「人生を捨てること」ではない

40代で会社を辞めると、キャリアが終わるように感じるかもしれない。

私も不安はあった。それでも、43歳で異業種へ転職し、年収を2,000,000円上げた経験がある。マネジメント、業務改善、プロジェクト管理、コールセンター、法務、経理など、横に広い経験は業界が変わっても消えなかった。

会社名や肩書がなくなっても、これまでの経験まで失うわけではない。

ただし、「私はもう成功しているから大丈夫」と強がることと、「失敗したら戻れる」と具体的に設計することは別物だ。

私は後者を選びたい。

43歳で異業種へ転職したときの失敗と、年収600万円から800万円へ上がった経緯は、43歳、転職で年収200万円アップ。それでも「成功談」にできない理由にまとめている。

今回、2,800万円で会社を辞めるまでの経緯は、4,000万円まで待てなかった。2,800万円で会社を辞めたで詳しく書いた。

退職届を出す前に、今日この5つだけ計算する

会社を辞めるかどうかは、この記事を読んだ勢いで決めないでほしい。

代わりに、今日中に次の5つを紙か表計算へ書き出してみてほしい。

  1. 退職後1年目の月間支出(税金・社会保険料込み)
  2. 退職後2年目の月間支出
  3. 現金だけで何か月暮らせるか
  4. 家族と合意できる最低資産額
  5. 再就職活動を始める資産額と期限

ここまで数字にして、それでも「辞めたい」ではなく「辞めても戻れる」と言えるなら、次の仕事が決まっていないことだけを理由に、自分を会社へ縛り続けなくていい。

逆に数字を出した瞬間に怖くなったなら、それも収穫だ。今すぐ辞めず、固定費を下げる、現金を増やす、転職活動だけ始める。やることが見える。

私は、勇気を出して会社を辞めたわけではない。

毎日辞める理由を探していたところへ、体調不良と診断書と不動産売却が重なった。妻も認めてくれた。その全部に背中を押され、ようやく辞めた。

運がよかったと思う。

一方で、その運だけに乗ったわけでもない。金融資産は、突然2,800万円になったのではない。収入が特別高かったわけではない時期から、節約し、不動産を買い、繰上返済をし、投資を続けてきた。その積み重ねが、最後に「辞めてもすぐには死なない」という選択肢へ変わった。

準備万端ではなかった。副業収入はゼロ。FIRE資金としても足りない。これから失敗する可能性も普通にある。

それでも、失敗したときに戻るラインだけは決めた。

これは、立派な退職の成功談ではない。

かなり感情的に会社を辞めた人間が、家族を巻き込む大事故だけは避けようとした話だ。

だからあなたには、私と同じ順番を勧めない。

できるなら、辞める前に4条件を揃えてほしい。

ただ、すでに冷静な準備ができないほど消耗しているなら、完璧な計画ができるまで会社へ残り続けることだけが正解でもない。

必要なのは、きれいな決断ではない。

ぐちゃぐちゃな状態でも越えてはいけない、最低限の線だ。


※この記事は筆者個人の体験と判断基準をまとめたもので、医療・法律・社会保険・投資に関する個別の助言ではありません。制度の適用や手続きは、医師、加入する健康保険の保険者、年金事務所、市区町村などへ確認してください。

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