毎日仕事だけで終わる。変えたいのに動けない40代へ

忙しさ、焦り、生産性低下、時間減少が続く循環図

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この記事の結論
目標のぶつかりをほどいて、考える余裕を取り戻す。メールや通知による中断を減らし、今日終えられる作業から進める。仕事を減らす工夫も重ね、自分のために使える時間を取り戻す。

朝起きて会社へ行き、帰って食事と風呂を済ませると、もう寝る時間。週末も疲れを取るうちに終わる。また月曜日が来る。

毎日やることはやっている。それなのに、「このまま何年も過ぎていいのか」と思う。今の生活を変えたいのに、動こうとすると、もう力が残っていない。

私も、会社員だった頃はそんな毎日でした。20代から自分で仕事をつくりたいと思いながら、長い間、先送りにしていました。

仕事に使い切っている時間を取り戻したい。そのために効率化を考えても、頭がいっぱいでは、新しい工夫を試す余裕もありません。目標のぶつかりで迷い続けているなら、そこに折り合いをつけることが、考える余裕を取り戻すきっかけになります。

目次

朝7時前に家を出て、帰宅は22時半過ぎだった

当時の私は、朝7時前に家を出て、帰宅すると22時半を過ぎていました。平日はもちろん、土日もへろへろで、何もできない状態でした。

管理職として、意味を感じられない調整や後始末に神経を使うこともしんどくなっていました。会社の仕事を終えるだけで、その日の時間と体力を使い切ってしまう。自分のこれからを考えるのは、いつもそのあとです。

40代の余裕のなさは、調査にも表れています。パーソルが2023年3月、15〜69歳の就業者10万人に行った調査では、40代で「仕事をする際の心のゆとりがある」と答えた人は31.0%、「経済的なゆとりがある」は23.6%で、いずれも年代別で最も低い割合でした。時間的なゆとりも36.3%と、30代に次いで低くなっています。[1]

この生活に、朝活や副業、勉強を次々と足していくのは難しいと思います。私の場合も、何を始めるかと同時に、何にこれほど時間と力を使っているのかを考える必要がありました。

時間があっても足りない。「目標のぶつかり」が思考を停止させる

「ケーキを食べたい。でも、ダイエットもしたい」。食べようとするとダイエットが気になり、我慢しようとするとケーキを食べたくなる。気持ちが行ったり来たりして、どうするか決まらない。これも身近な目標のぶつかりです。

ケーキを食べたい気持ちと、痩せたい気持ちの間で迷うカウジ

このように、ある目標を進めることが、別の目標の妨げになる状態を「目標の衝突」、コンフリクトと呼びます。

時間の使い方でも、似た迷いが起こります。たとえば、予定のない休日に「今日は自分のことを進めよう」と思ったとします。でも、仕事で疲れているから休みたい。休もうとすると、「このままでは何も変わらない」と気になる。何かを始めようとすると、今度は「休日まで頑張ったら、いつ休むのか」と思う。

どちらも大切で、どうするか決まらない。迷っているうちに夕方になり、「今日も時間がなかった」と感じる。ここでいう「思考が止まる」とは、二つの気持ちのあいだを行き来して、次の行動が決まらなくなる感覚です。

目標の衝突は、時間の感じ方との関係も研究されています。2015年の研究では、目標同士の衝突を強く感じると、主観的な時間不足感も強まることが、五つの実験で示されました。ストレスや不安が、その関係にかかわっていました。[2]

「今日は少し時間があったはずなのに、何も進まなかった」という日には、目標のぶつかりが「時間がない」という感覚を強めているのかもしれません。

二者択一をやめ、第三の案を出す

ケーキの例なら、「食べる」か「我慢する」かだけで考え続けない。たとえば、「少しだけ楽しむ」「食べる日を決めておく」という折り合いのつけ方もあります。両方の気持ちを持ったまま、量や頻度を変える案です。

休日の例なら、「一日中休む」か「一日中頑張る」かの二択をやめる。「午前中の30分だけ進め、午後は休む」という案なら、やりたいことと休息の両方に時間を使えます。

大事なのは、ぶつかっている目標を、今の条件でどう両立させるかです。どうしても難しければ、取りかかる時期をずらす。続ける意味が薄れた目標なら、手放すことも考えます。何もかも同時にかなえようとすると、また同じ迷いに戻ってしまいます。

第三の案で頭に余裕ができ、別のことを考えられた

私自身、第三の案を出すことで頭の中に余裕ができ、別のことを考えられるようになりました。業務のスピードも、いくらか速くなったと思っています。

この経験から、効率化の前に、目標のぶつかりを解くことが大切だと感じています。

目標の衝突をほどいて、行動につなげる

  1. 目標の衝突たとえばケーキを食べたい
    ダイエットもしたい
  2. 第三の案量や頻度で折り合いをつける少しだけ楽しむ
    食べる日を決める
  3. 考える余裕迷いがほどけて
    別のことを考えられる
  4. 実際に進める中断を減らす
    今日の作業を小さくする
第三の案で考える余裕が生まれ、業務のスピードもいくらか速くなったという変化は、筆者自身の実感です。

時間の感じ方を見直す一冊『超時間術』

メンタリストDaiGoさんの『週40時間の自由をつくる 超時間術』(実務教育出版)は、時間にまつわる思い込みや時間感覚、ストレスへの対処、職場で自分の時間を守る働き方を扱っています。[4]忙しさに追われる感覚も含めて、自分の時間の使い方を見直したいときの一冊です。

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忙しさ、焦り、生産性低下、時間減少が続く循環図

マルチタスクをやめる

車が走り出してから速度を上げるように、仕事も取りかかってすぐに調子が出るとは限りません。資料を書きながらメールを返すようなマルチタスクでは、何度も作業を切り替えることになります。切り替えが重なると、加速しては止まる運転のように、作業の流れが途切れがちになります。

作業を切り替えたあとも、前の仕事が気にかかって、次の仕事に集中しにくくなることが、実験で示されています。[7]また、電話やメッセージで作業を中断する実験では、中断がない場合より、参加者のストレスや時間に追われる感覚が強まりました。[5]

まずは、資料を作る時間と返信する時間を別々に取る。資料の段落を書き終えてからメールを開くなど、自分からの切り替えを減らします。例えば30分だけ集中する時間を確保し、スケジュールをロックし、急ぎの連絡は電話で受ける。常に対応が必要な仕事では、交代で作業時間を取れないか相談します。

今日終えられる大きさまで、やることを小さくする

仕事の進み具合と気持ちを調べた研究では、自分にとって意味のある仕事が進んだ日は、気分が良く、意欲も高い傾向が見られました。大きな成果だけでなく、小さな進展もかかわっていました。[6]今日できる量に合わせて、資料作成なら「今日は売上の数字を表に入れるところまで」と区切ってみます。

自分のやりたいことにも使えます。「資格の勉強を進める」だけではなく、「今日は問題を3問解いて、解説まで読む」と、終えるところまで決めておきます。解説まで読み終えれば、「ここまで終わった」という手応えが残ります。続きは次の予定に回し、休む時間も残しておきます。

脳のリソースを取り戻し、仕事を減らし、効率化する

不要な用事を減らし、残る仕事の手間を省く。空いた時間を、また仕事だけで埋めないようにします。

やめても影響のない用事は、思い切ってやらない勇気を持つ

たとえば、以前は必要だったけれど、今は使われていない資料を毎回作っている。すぐに返さなくても支障のない連絡へ、その都度返事をしている。こうした用事が残っていれば、やめる、回数を減らす、対応する時間を決めるといった変更を検討します。

仕事の量や担当など、自分だけで変えられないことは、上司への相談が必要です。「早く帰りたい」だけで終わらせず、どの作業を減らせるか、誰が担当するか、終業後の連絡をどこまで受けるかまで話します。

仕事量や担当の変更を会社へ相談する

仕事終わりにメモ書きをして頭の外に吐き出す

帰宅後にも、終わっていない仕事のことが頭へ戻ってくる場合があります。そのときは退勤前に、どこで、いつ、何から再開するかをメモしておきます。

たとえば、「明日の午前中に資料を仕上げる」だけでなく、「9時に自席で集計表を開き、未確認の数字を担当者へ聞く」まで書いておく。次にすることが決まったら、その日の仕事を終えます。書いたらそのことは、今日はもう何も考えない。

こうした計画が、普段から勤務後も仕事が頭から離れにくい人の切り替えに役立った研究があります。[3]これは、仕事の量を減らす相談に加えて、家でも続きを考え続けてしまう方にはオススメの方法です。

やりたいことと休む時間は優先的に予定に入れ、時間をロックする

空いた時間をすべて新しい活動で埋めると、休みたい気持ちとの衝突がまた始まります。やりたいことには終える時刻を決め、休む時間も確保しておきます。

机に向かい、ノートに書き込むカウジ

たとえば、自分の発信を始めたいなら、休日の午前中に記事で伝えたいことを書き出し、午後は休む。趣味を楽しみたいなら、その時間は仕事のメールを開かずに過ごせるよう、職場の連絡ルールも調整しておく。家族と過ごしたいなら、都合を相談して、その予定を先に入れておく。

今の働き方を続けるか、変えるかを考える

仕事だけで一日を終えたくない。まず、目標のぶつかりをほどいて、頭の余力を取り戻す。中断を減らし、今日終えられる作業から進める。そのうえで仕事を減らし、効率化する。取り戻した時間を、自分がやりたいことや、十分に休むために使っていきたいと思います。

参考資料

[1]パーソルホールディングス「『はたらく定点調査』に見る世代別の就労意識【ゆとり編】」(2024年1月23日公表、調査時期は2023年3月)
https://www.persol-group.co.jp/news/20240123_13298/

[2]Etkin, J., Evangelidis, I., & Aaker, J.(2015)Pressed for Time? Goal Conflict Shapes How Time Is Perceived, Spent, and Valued. Journal of Marketing Research, 52(3), 394–406.
https://doi.org/10.1509/jmr.14.0130
目標衝突と主観的な時間不足感の関係を扱った研究。本文の「第三の案」による変化や、業務のスピードについては、筆者自身の実感です。

[3]Smit, B. W.(2016)Successfully leaving work at work: The self-regulatory underpinnings of psychological detachment. Journal of Occupational and Organizational Psychology, 89(3), 493–514.
https://bpspsychub.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/joop.12137

[4]メンタリストDaiGo『週40時間の自由をつくる 超時間術』実務教育出版、2018年。ISBN:9784788914728。書誌・公開目次。
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784788914728

[5]Mark, G., Gudith, D., & Klocke, U.(2008)The Cost of Interrupted Work: More Speed and Stress. Proceedings of CHI 2008, 107–110.
著者公開の論文PDF
中断のある条件では、作業を速める一方でストレスや時間的圧迫感が高まった実験。本文の30分という区切りや連絡方法は、日常の仕事への応用例です。

[6]Harvard Business School, Working Knowledge(2011)How Small Wins Unleash Creativity. Teresa Amabileへの研究インタビュー。
研究者本人による説明
仕事の進展と気分・意欲などの関係を扱った日誌研究。本文の作業量や勉強の例は、この考え方を日常に取り入れるための応用例です。

[7]Leroy, S.(2009)Why is it so hard to do my work? The challenge of attention residue when switching between work tasks. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 109(2), 168–181.
出版社公開の論文要旨
作業の切り替え後に前の作業への注意が残り、次の作業成績に影響することを扱った実験。本文のメール対応例は実務への応用です。

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カウジについて

カウジのアバター カウジ 元管理職

44歳で次の仕事を決めずに退職したカウジです。現在はストック型のスモールビジネスに挑戦中。退職前に考えたことと、辞めた後の暮らしを実体験から書いています。
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