会社を辞めたい。でも、家族にどう話せばいいのか分からない。
生活がかかっているから、簡単に賛成してもらえる話ではない。そう考えると、切り出す前から反対される場面を想像してしまう人もいると思います。
私には、17年勤めた会社から転職した経験と、その後の勤務先を44歳で、次の仕事を決めずに辞めた経験があります。この二つは、別の退職です。
前の転職では、妻から背中を押してもらいました。次を決めずに辞めた今回も、妻は少し心配しながら、私のやりたいことを応援してくれました。
振り返ると、大事だったのは、その場でうまく説明することだけではありません。今の会社にどんな不安があるのか。これからどう生きたいのか。そして、家族の暮らしをどう考えているのか。そういう話を、以前からしていたことだと思います。
17年勤めた会社では、辞めることより居続けることが不安だった
最初の転職をする前から、私は妻に、その会社に60歳まではいるつもりがないと伝えていました。
自分より一回り上の世代が上のポストを占めていて、経験を積んでも、その先の席が空く見通しが持てない。昇給や昇格の可能性も、かなり限られていると感じていました。
さらに、私には先細りしていく業界に見えていました。給料もだんだん下がっていくのではないか。そうした仕事の見通しも、定期的に妻へ話していました。

振り返り
会社に残れば、当面の給料は入る。でも、それが将来まで続くとは限らない。
もし50代になって会社が解散するようなことになったら。そのときから新しく勉強を始め、外の世界を知っていくことに、私は不安がありました。自分としては、そこまで動くのを先送りしたくありませんでした。
50代からでは何もできない、という話ではありません。私が、自分の時間をどう使いたいかという話です。
当時の気持ちを表すなら、沈む船につかまっているより、早く離れたい。会社を離れるリスクだけでなく、残り続けるリスクもあると思っていました。
転職は、自分だけでなく家族の暮らしにもつながる選択だった
その転職は、勢いで飛び出したものではありません。エージェントを使い、半年ほどかけて進めました。
別の会社に移れば、給料や待遇の面でも、家族にとってメリットがあると考えていました。その見通しも妻に伝えていました。
エージェントから紹介された話をしたときには、妻の方から、むしろ転職した方がいいのではないかという後押しがありました。
妻がどんな理由をどれだけ重く見ていたかまでは、私の言葉で決めつけられません。ただ、会社に残ることへの不安を以前から話していたので、突然、何も知らないところへ転職話だけを持ち出したわけではありませんでした。
相談する前は反対されると思っていても、相手は別の受け止め方をすることがあります。私の経験から伝えたいのは、話せば必ず賛成してもらえるということではなく、まだ聞いていない家族の気持ちを、反対だと決めつけなくてもいいということです。
今回は、次を決めずに辞めた。妻は心配しながら応援してくれた
その後の勤務先を辞めたときは、前の転職とは事情が違いました。今回は、次の仕事を決めずに退職を選びました。
妻には、これまで蓄えてきた資産があり、当面は働かなくても生活できると自分では考えていることを伝えました。同時に、次にやろうとしていることがうまくいかなければ、再び正社員として働くつもりであることも話しました。
妻は、反対というより少し心配していました。それでも、私のやりたいことを応援してくれました。
もともと、正社員として働ききることが自分の人生のゴールではないと伝えていました。今回の退職は、私にとって、その思いにつながる選択でした。
前の転職のように、次の会社の給料や待遇を説明できる話ではありません。自分が望む生き方と、その間の暮らしをどう支えるかを伝える話でした。
私の場合、退職しても、それまで自分が負担していた生活費の割合は変えないと話していました。自分の挑戦を応援してもらうことと、その負担を相手に任せてしまうことは、分けて考えたいと思っています。
なお、正社員に戻ると伝えたのは、うまくいかなかったときに自分が取るつもりの行動です。希望どおりの時期や条件で再就職できる保証ではありません。この点は、読んでくださる方にも分けて受け取ってほしいところです。
家族へのメリットを、うまく説明できないときは
転職で給料や待遇が良くなる見通しがあれば、家族の暮らしにどうつながるかを具体的に話せます。ただ、自分が良いと思った条件を、相手も同じように喜ぶとは限りません。家族が何を大事にしたいかも聞く必要があります。
一方、次を決めずに辞める場合は、分かりやすい利益を示せないこともあると思います。だからといって、家族のためだと言い切る必要はありません。
自分がやってみたいことは何か。今の働き方を続けたくないのはなぜか。その選択によって、家族にどんな心配や負担が生まれるのか。都合の良いところだけでなく、そこまで話すことが大切だと考えています。
今回、私が妻に伝えたのは、これまでの蓄えで暮らしを支え、うまくいかなければ働き方を見直すということでした。そのうえで、自分のやりたいことを応援してもらいました。
家族へのメリットがまだ言葉にならないなら、無理に説得を完成させず、分からない部分を残したまま相談してもいいと思います。話した結果、次の仕事を決めてから辞める、時期を変えるなど、選び方を見直すこともあります。
辞める不安と、続ける不安。どちらも話していい
退職の相談では、収入がなくなることや、次がうまくいかないことが話題になりやすいと思います。でも、今の仕事を続けることにも、自分なりの不安があるはずです。
私にとっては、業界の先行きや、昇給・昇格の見通し、動き出すまでの時間でした。
ただ、将来への不安は、まだ起きていないことでもあります。会社が必ずなくなる、転職すれば必ず良くなる、と言い切るのではなく、自分が何を見て、どう心配しているかを話したいところです。
続けることの不安を伝えるのは、家族を怖がらせて賛成してもらうためではありません。辞める場合だけでなく、残る場合も含めて、これからを考えるためです。

振り返り
これまで長く勤めてきたことと、この先も勤めたいかどうかは、分けて考えていい。私はそう思います。
説得する言葉より、まだ話していない気持ちを
私の妻は、転職のときは背中を押し、次を決めずに辞めたときも、心配しながら応援してくれました。
ただ、同じように話せば、どの家庭でも同じ答えになるわけではありません。私は既婚・子なしです。子どもや住宅、介護など、それぞれの家庭で守りたい暮らしも、抱えている責任も違います。
反対されたとしても、気持ちが伝わらなかったと決めつける必要はありません。思いは分かっても、生活の不安は残ることがあります。心配と応援が同時にあることも、今回の妻の反応から感じました。
話す前に整理するなら、細かな話し方より、まずはこの三つで十分だと思います。
- 今の働き方を続けることに、どんな不安があるか。
- 会社を離れて、どんな人生や暮らしに近づきたいか。
- その間の生活をどう支え、うまくいかなければどう見直すつもりか。
そして、家族がどう感じているかは、想像で埋めずに聞く。気持ちを話すことと、相手の答えを尊重することを、両方大事にしたいと思います。
私の場合は、会社を辞める話の前から、仕事の先行きと、自分がどう生きたいかを妻に伝えていました。まだ相談できずにいるなら、賛成をもらう言葉を探す前に、その気持ちから話してみてもいいのではないでしょうか。
※話すことで暴力や脅しを受けるおそれがある場合は、無理に相談を進めず、安全を優先してください。

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