業務効率化の提案を上司に通すには?2時間の手作業を15分にした「1万円の実験」

書類の山を効率的なパソコン作業へ変えるカウジ

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手作業で2時間かかる仕事がありました。

プログラムを使えば短縮できそうでしたが、会社から返ってきたのは、「仕事で必要なら、自分で勉強して作れるようになって」という話でした。

一見、もっともらしく聞こえます。外注しなければ、新しい支出は発生しません。

プログラミングを勉強し、試しながら設定すれば、私の場合は10~20時間、あるいはそれ以上かかると見積もりました。その間、本来の仕事に使える時間も減ります。完成しても、その技術を今後使い続けるとは限りません。

表面上は約1万円の外注費を避けられます。その代わり、社員の学習と試作に何十時間も使う可能性がありました。

私は、すでにできる人へ頼むことにしました。

ココナラで約1万円、納期は約2日。完成したプログラムを導入すると、2時間かかっていた作業は15分になりました。簡易マニュアルも付いていたため、その後のメンテナンスは部下へ渡せました。

この経験で、社内の業務効率化が止まる理由の一つが見えました。新しい支出は目につきやすいのに、今のやり方を続けて失う時間は見落とされやすい。社員の時間が、会社からは「無料」に見えていることがあります。

この記事では、私が「自分で勉強して作れ」と言われたあと、どう考え、約1万円の外注を小さく試したかを書きます。

目次

業務効率化を止める「無料の手作業」

担当者には、非効率な作業が見えています。

  • 同じデータを何度も転記している
  • 毎月、同じ集計を繰り返している
  • 一部の人しか操作方法を知らない
  • 手作業による入力ミスが起きる
  • 本来の仕事より、準備や処理に時間を取られている

ところが、上司から見えるものは異なります。

  • 新しい費用が発生する
  • 外注による情報漏えいが心配
  • 本当に動くか分からない
  • 導入後に誰が管理するのか分からない
  • 失敗したときに承認者として責任を負う

担当者は「改善効果」を見ていますが、承認者は「導入リスク」を見ています。

この認識差を埋めずに、「今のやり方は非効率です」と説明しても、承認されにくいのです。

提案する側には、もう一つ厄介な問題があります。改善案を持ち込むと、調査、説明、試作、導入後の面倒まで自分に戻ってきやすいことです。正しい提案をした結果、自分の仕事だけ増える。私もこれを何度も経験しました。

そこで私は、却下されても引きずらず、通ったあとも自分だけが抱え込まない形を考えました。

無料の手作業チェック

次の項目に一つでも当てはまる仕事は、社員の時間を使って維持している可能性があります。

  • 同じ作業を毎週・毎月繰り返している
  • 手順がほぼ決まっている
  • コピー、転記、集計、ファイル作成が多い
  • 担当者が休むと作業が止まる
  • ミスを防ぐための確認に時間がかかる
  • 改善するには、担当者が本来の業務時間を使って勉強するしかない
  • 外注費は計算するのに、社員の学習時間は計算していない

上司に最初に見せたのは「2時間」という事実

外注を提案する前に、私は上司が何を判断するのかを整理しました。

いきなり「ココナラで外注したい」と持ちかけると、話題は業務改善からサービスの安全性へ移ります。ココナラを知らない上司なら、そこで話が止まる可能性もあります。

そこで最初に、サービス名ではなく、現在の作業時間と困っていることを共有しました。

カウジ
現在、この作業には1回約2時間かかっています。作業手順の多くが固定されているため、一部を自動化できる可能性があります。

まず「現在2時間かかっている」という事実を確認してもらい、その次に現状維持、自作、外注の選択肢を出しました。話をこの順番にすると、上司も目の前の判断に集中できます。

「楽になる」だけでは通らなかった

「自分の作業が大変だから」という説明では、個人の要望に見えることがあります。

そこで、空いた時間を何に使うかまで示します。

作業を短縮できれば、確認、判断、顧客対応など、人が行う必要のある仕事へ時間を回せます。

改善によって会社が得るものまで示します。

  • 残業時間を減らせる
  • 処理件数を増やせる
  • 入力ミスを減らせる
  • 締め作業を早められる
  • 担当者が不在でも業務を回せる
  • 管理職が確認と判断へ集中できる

見落とされる「今も払っているコスト」

新しい費用だけを提示すると、上司には「1万円の支出」に見えます。

一方、現状維持にも費用がかかっています。手作業に使い続ける時間です。

計算は次のように行います。

1回の削減時間 × 月間実施回数 × 1時間あたりの人件費

今回の実例を、月4回、時間単価2,500円として試算すると次のようになります。

項目 試算
導入前 1回2時間
導入後 1回15分
1回の削減 1時間45分
月4回の削減 7時間
月間の削減額 17,500円相当
外注費 約10,000円
回収目安 約2.3回の実施

これは説明用のモデルです。実際の提案では、自社の実施回数と人件費に置き換えます。

「1万円を使うか」だけでなく、「1万円を使わない場合、どれだけの時間を失い続けるか」を同じ表で見せます。

自作・放置・外注を同じ表に置く

外注だけを提案すると、上司は賛成か反対かを迫られます。

複数案を同じ条件で並べれば、判断しやすくなります。

選択肢 支出 社内工数 完成時期 主なリスク
現状の手作業を続ける 0円 毎回約2時間 改善なし 時間損失が続く
自分で勉強して作る 0円に見える 10~20時間以上 不明 本業が止まる、品質が不明
外部へ骨格を依頼する 約1万円 約1時間 約2日 発注先選びと情報管理が必要

自作の費用を0円と扱わないことが重要です。勉強、試作、エラー対応、本業の遅れも社内工数です。

上限1万円、1業務だけで試す

いきなり部門全体のシステムを変える提案は、金額も責任も大きくなります。

まず、次の条件を決めます。

  • 対象は1つの定型業務だけ
  • 予算上限を決める
  • 検証期間を決める
  • 成功条件を数字で決める
  • 効果が出なければ追加発注しない
  • 既存業務へ戻せる状態を残す

例えば、次の提案です。

カウジ
1回2時間かかっている集計業務だけを対象に、上限1万円で試作します。1か月検証し、作業時間が30分以下にならなければ追加発注しません。

上司が判断する範囲は、費用と対象業務を限定した1回の実験まで小さくなります。

上司には、実施するかどうかに加えて、予算上限、検証期間、中止条件を選んでもらいます。自分で条件を調整できれば、提案を丸のみさせられる感覚が薄れます。

1万円実験シート

提案前に、次の5項目を一行ずつ決めます。

項目 記入例
対象 毎月の集計業務、一つだけ
予算上限 1万円
検証期間 1か月
成功条件 2時間の作業が30分以下になる
中止条件 効果が出なければ追加発注しない

私が上司に頼んだのは、この条件で一度だけ試す許可でした。

外に出さないものを、先に決めた

会社の仕事を外部へ依頼するとき、情報管理は避けて通れません。

私の場合は、会社名、顧客情報、実際の数値などを渡さず、プログラムの骨格だけを作ってもらいました。その後、社内で必要な情報を設定しました。

提案時には、次を明記します。

  • 外部へ渡す情報
  • 外部へ渡さない情報
  • ダミーデータで代替できる範囲
  • 本番データを設定する担当者
  • 納品物を確認する方法
  • 会社の規則上、必要な承認

勤務先の規則で外部サービスの利用が禁止されている場合や、情報の切り分けができない場合は、そのまま進められません。先に社内ルールと責任者の判断を確認します。

納品後に、自分が抱えないために

上司は、「作った人しか直せないのではないか」「担当者が異動したらどうするのか」と考えます。

そこで、納品物だけでなく、運用条件も決めます。

  • 簡易マニュアルを付けてもらう
  • 自社で変更する箇所を明記してもらう
  • 修正対応の範囲と料金を確認する
  • 社内の保守担当者を決める
  • 特定の個人しか使えない状態を避ける

私が依頼した際は、どこを変更すればよいかを示す簡易マニュアルも用意してもらいました。その結果、メンテナンスを部下へ引き継ぐことができました。

断られたら、理由を一つに絞る

提案を断られたら、同じ説明を繰り返すのではなく、次のように確認します。

どの条件が確認できれば、試験導入を承認できますか?

「情報管理が不安」「効果が分からない」「予算がない」など、具体的な条件が出れば対応できます。

返答は、次の形まで具体化しておくと会話を進めやすくなります。

情報管理が条件なら、外部へ渡す項目と渡さない項目を一覧にします。費用対効果が条件なら、まず1回だけ手作業時間を計測します。予算が条件なら、上限額をいくらにすれば検討できるか教えてください。

条件を満たすたびに拒否理由が変わるなら、組織の意思決定そのものに問題がある可能性があります。私は説得に使う時間にも上限を置きました。上位者への相談、担当変更、異動なども含めて、自分の時間を守る判断が必要です。

「小さく試す」を実行できたのがココナラだった

今回のように対象を一つの業務へ絞ると、個人の専門家にも相談できます。

数十万円のシステムを導入する稟議は通らなくても、「対象は1業務、上限は約1万円、効果がなければそこで終了」という実験なら、検討の土俵に載せやすくなります。

私はココナラで、プログラム関連の実務経験がある方を探しました。

依頼費は記憶の範囲で約1万円、納期は約2日でした。納品後のカスタマイズも、料金設定の範囲を確認し、双方が合意したうえで対応してもらいました。信頼できたため、後日、別の仕事も同じ方へ依頼しています。

私は、実務経験、販売実績、返信速度、修正範囲、納品後の説明を確認しました。もっと安い人もいましたが、納期を優先していた私には「レスポンスがよい」という購入者の評価が最後の決め手になりました。

上司が判断できる1枚提案書テンプレート

以下の項目を埋めれば、簡易的な提案書として使えます。

業務効率化・試験導入の提案

1.今回、承認してほしいこと 例:上限1万円で、対象業務一つの試作と1か月の検証を行う

2.対象業務 例:毎月行っている○○データの集計と転記

3.現在の作業時間 1回[ ]時間 × 月[ ]回 = 月[ ]時間

4.現在の問題 例:手作業による入力ミス、担当者への集中、本来業務の遅れ

5.実施内容 例:処理の骨格だけを外部へ依頼し、本番データは社内で設定する

6.予算上限 [ ]円

7.期待する効果 1回[ ]時間から[ ]分へ短縮。月[ ]時間を削減

8.情報管理 外部へ渡さない情報:[         ] ダミーデータへ置き換える情報:[     ]

9.運用担当 検証:[ ]/日常運用:[ ]/保守:[ ]

10.成功条件 例:作業時間30分以下、重大なエラーなし、担当者以外も操作可能

11.中止条件 例:成功条件を満たさない場合は追加発注せず、従来手順へ戻す

会社が買うのは、プログラムより時間

振り返ると、話が進んだ理由は、上司が判断できる材料と、失敗したときに止められる条件をそろえたことでした。

  • 現在の時間損失を数字にする
  • 空いた時間を何に使うか示す
  • 現状維持、自作、外注を比較する
  • 1業務、上限金額付きで小さく試す
  • 機密情報と外注部分を分ける
  • マニュアルと社内運用を用意する
  • 承認条件を具体的に聞く

約1万円で得られたものを並べると、次のようになります。

  • 毎回失っていた1時間45分
  • 社員が一から勉強せずに済む時間
  • 手作業によるミスを減らせる仕組み
  • 部下へ引き継げるマニュアル
  • 次の改善へ進むための小さな成功例

小さな業務改善であれば、ココナラで経験者へ相談し、費用と納期の見積もりを取る方法もあります。見積もりを取れば、想像ではなく具体的な数字で社内へ説明できます。

ココナラの購入者向けガイドでは、購入前に出品者へ問い合わせできると案内されています。発注を決める前に、機密情報を除いた依頼概要、希望納期、予算、修正範囲、簡易マニュアルの有無を確認できます。やり取りが非公開でも、会社の情報を渡してよいとは限りません。所属先の規則と承認を先に確認してください。

参考:ココナラ「サービスを購入したい」

まず、自動化したい作業を一つだけ選ぶ。機密情報を除いた状態で、いくらで作れるか相談する。その見積もりを、上司へ出す数字として使う。

それが、「小さく試す」最初の一歩になります。

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この記事を書いた人

カウジのアバター カウジ 40代の人生再設計を記録する元管理職

44歳、元管理職。43歳で17年ぶりに転職し、約1年で休職・退職。仕事・家計・家族・制度を整理し、「弱っている日に、人生を決めない」ための判断材料を発信しています。ブログでは制度と手順、noteでは体験と判断過程を書いています。

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