引き継ぎなしで前任者が退職。仕事を調べながら新人に教えるには

資料を指差しながら、新人に仕事の手順を一生懸命教えるカウジ

この記事の結論

引き継ぎがないなら、必要な成果から仕事を組み直してよい。前任者と同じやり方に戻すことを、ゴールにしなくていいと思います。関係者と必要な成果を確かめ、自分で変えられるところは変える。権限を超える判断は上司に求める。今の条件で前に進める方法を作ることが大事です。

引き継ぎがほとんどない仕事を担当しながら、新人にも教えることになりました。最初に困ったのは、細かい操作よりも、この仕事のゴールが分からなかったことです。

ここでは、初めてリーダーになった私の経験を振り返ります。そのうえで、今なら何を先に決め、どこから変えるかも整理します。「今なら」と書いた提案や相談例は、当時そのまま実行した手順ではありません。

目次

引き継ぎがなく、仕事のゴールが分からなかった

私が初めてリーダーになったとき、長く業務を担っていた人が退職し、ノウハウがほとんど引き継がれていませんでした。残されたデータから業務の全体像と運用を読み解きながら、新しく入ったメンバーにはExcelを含む実務スキルを教えることになりました。

そもそも、この業務は何をするためのものなのか。どこまでできればよいのか。そのゴールが分からないところからの出発でした。

操作が分かっても、何を仕上げればよいか分からなければ終われません。今なら、受け取る部署に「何に使うのか」「いつまでに何が必要か」「出せないと何が止まるか」を先に聞きます。去年と同じ表を作る必要があるのかも、そこで確かめます。

引き継ぎ資料とパソコンを前に考え込むカウジ

前々任者や関係部署に聞き、業務を把握した

そこで頼ったのは、別部署に異動していた前々任者です。この業務で何をしていたのかを聞きました。

引き継ぎがないからといって、残されたファイルだけで全部を理解するのは難しい。実際に担当していた人に聞くことが、私にとって業務を知る入り口になりました。

前々任者だけでなく、その業務の関係先にも確認しました。アウトプットするデータについては関係先に聞き、システムの使い方はシステム部と連携しました。

相手に手間をかけ、迷惑になっていることは承知していました。それでも、いかに関係者をうまく巻き込み、物事を前に進めるか。当時は、その対応に必死だった感覚があります。

必要な知識は、一人の頭の中にまとまっているとは限りませんでした。データのことは関係先、操作のことはシステム部。相手が察して助けてくれるのを待つより、何が分からず、何を教えてほしいかを持って聞きに行く。その手間を引き受けることも、仕事を前に進めるために必要だと思います。

詳しい同僚に相談しながら仕事の進め方をメモするカウジ

全部を戻す前に、何を優先するかを上司と決める

上司とは、仕事の優先順位と応援体制を決めました。業務を調べ直すことと、新人に教えることを並行して進めるためです。

今なら、忙しさを伝えるだけでなく、選べる案まで持っていきます。例えば「今週必要な集計を先に出し、使われていない体裁加工は省きたい。確認に半日もらえれば間に合う」という相談です。これは説明用の例ですが、何を守り、何を変え、どんな助力が要るかを示せます。

必要な成果は受け手と確かめ、仕事の優先順位や人手は上司に相談する。期限や他部署との約束、自分の権限を超える省略は、担当者だけで決めません。判断待ちなら、いつまでに決めないと何に影響するかも伝えます。

前のやり方を知る。でも、正解と決めてかからない

前々任者や関係部署に聞いて従来の業務を把握し、まずはそのやり方で進めました。「郷に入っては郷に従え」の精神です。

その後、仕事を効率化し、不要な工程を少し削りました。周囲に聞いて仕事を理解し、実際に進めてから見直しに移った、という順番です。

ただ、誰にでも「全部を一度そのままやってから変えよう」と勧めるつもりはありません。必要な成果と守る条件が分かれば、今の人員や使える道具に合わせて、最初から組み直してもよいと思います。理由の分からない工程は役割を確かめ、必要な確認やチェックまで削らない。前任者の手順は手掛かりにして、自分たちが使えるやり方を作ります。

自分も仕事を覚えながら、新人に教えることになった

この間、新しく入ったメンバーへの教育も並行していました。自分が業務を理解することと、相手に実務を教えること。その両方に向き合う経験でした。

今なら、新人に覚えてもらう範囲も、今回必要な成果から決めます。使うデータ、作業の終わり、数字が合わないときの相談先まで確かめた作業から渡す。まだ判断できない例外まで、本人任せにはしません。教える側の調査と新人の練習を、同じ成果に向けて進めたいと思います。

確認できた作業を新人に説明するカウジ

引き継ぎがない状況を、仕事を変える機会にする

私が当時必死だったのは、関係者を巻き込み、目の前の仕事を前に進めることでした。今振り返ると、引き継ぎがないからこそ、何を残し、何を変えるかを考える余地もあります。以前どおりに戻せたかより、必要な成果を出せて、次の人も動けるか。この機会を使って、今の自分たちにとって使える仕事に変えていけばよいと思います。

この経験を振り返るうえで参考になる本

『マネジャーの最も大切な仕事』では、意味のある仕事が前に進むことや、そのための情報・時間・助力が重視されています。[1][2] 私の経験に重ねると、経験者に聞いて業務を理解し、少しずつ見直した流れを考える手がかりになります。

参考にした資料

[1] テレサ・アマビール、スティーブン・クレイマー『マネジャーの最も大切な仕事』英治出版

[2] 著者インタビュー How Small Wins Unleash Creativity

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カウジについて

カウジのアバター カウジ 元管理職

44歳で次の仕事を決めずに退職したカウジです。現在はストック型のスモールビジネスに挑戦中。退職前に考えたことと、辞めた後の暮らしを実体験から書いています。
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