「今年こそ、会社を辞めたい」。
そう思っているうちに、今年も終わりが近づいてきました。ボーナス貰ってから、動こうかな、と。
この記事の結論
年末に辞めたいなら、「自分は何を変えたいのか」と「辞めた後の生活は成り立つか」を軸に、辞めるかを考えましょう。辞めると決めたら、賞与・有休・引き継ぎから日程を逆算し、次の初回給与までのお金を用意して動きます。
私は44歳、2026年8月末に会社を辞めました。年末退職の体験談ではありませんが、辞めたあとに払ったお金と、引き継ぎを受けられずに苦労した経験があります。
1.これまでの選択|先延ばしをしていないか
「ボーナスをもらってから」「繁忙期が終わってから」。今年もそう言って待ってきたなら、去年や半年前に辞めたいと思った原因が、今どうなったかを振り返ってみてください。
毎日の通勤で考えていたのは、「いつ辞める?」「何をきっかけに辞める?」
目の前では、学生たちがキャッキャと話している。楽しそう。一方私は、死んだ魚の目で電車に揺られている。
この先、20年もこれを思いながら生きていくのか。それ、無理じゃね?

私の場合、周囲のフォローに追われる仕事に意味を感じられず、自分の価値観に合う生き方を取り戻したかった。残れば、望まない仕事と時間の使い方が続く。「年末になったら考える」と待っても、その悩みは消えないんですよね。
もちろん、待つことが全部先延ばしではありません。あと3か月で生活費をいくら貯める、在職中に内定を得る、異動の結果を確認する。待つ間に判断の条件が変わるなら、それは準備です。
反対に、ボーナスを受け取ったあとも同じ仕事内容・同じ人間関係で、次は「年度末まで」と待ち続けそうならどうか。前に迷った原因が解消したのか、それとも辞める時期だけを動かしてきたのか。ここを見ないと、来年も「今年こそ」に戻ってしまいます。
2.悩みの理由|辞めたい原因と、ためらう原因を分ける
仕事内容が合わないから辞めたい。でも、40代で次が決まるか分からないから動けない。「次が不安だから、今の仕事を辞めたい気持ちも間違いなのか」と、決断を最初からやり直さなくてよいと思います。
私も、転職してから1年もたたずに辞めることは引っかかっていました。辞めたい気持ちがあっても、すぐに割り切れるわけではないんですよね。
辞めたい原因
仕事内容や人間関係を変えたいなら、今の会社で変えられる余地があるか。たとえば異動で解消する悩みなら、上司や人事に、誰が決めるのか、いつ決まるのかを確認します。待つなら「来月の配置決定まで」と期限を置き、「そのうち良くなる」だけで去年と同じ状態を続けないことです。
辞めるのをためらう理由
- 年齢
在職中に希望職種へ応募して、今の経験への評価を聞く。応募先の反応や提示条件があれば、収入を切らさず移れるのか、経験の使い方を変える必要があるのかを判断できます。「40代だから無理」と決めるだけでも、「何とかなる」と辞めるだけでも、答えは増えません。 - 同僚への遠慮
何を渡せば仕事が続くかを考える。同僚への遠慮は、辞めたい原因を消しません。退職を決めたら、第3章のように引き継ぎの受取人と期限を決める形で配慮できます。後任採用まで自分が引き受ける必要はありません。 - 賞与
逃したくないなら、第3章の日程へ。 - 生活費
不安なら、第4章のお金へ。「辞めたい理由はある。今は資金が足りないので、必要額を貯めるまで待つ」でもよい。その場合に決めるのは、我慢する覚悟より、いくら貯まったら動くかです。
参考にしたのは、メンタリストDaiGo『後悔しない超選択術』(西東社)の出版社による公開紹介です。未来を予測できないからこそ、絶対の正解より後悔しない選択を目指すという趣旨です。退職なら、私も「不安がゼロになるまで待つ」より、今分かる条件を埋めて決めたい。
ただ、眠れない、休日にも回復しないほどつらいなら、準備が全部整うまで耐え続ける話ではありません。まず休むことや、医療機関・社内外の相談窓口に相談することを優先してください。動く元気がなくなるまで残るのを、正解にはしたくありません。
3.辞めると決めたら|退職日と最終出勤日を分ける
退職日は、会社に在籍する最後の日。最終出勤日は、実際に働く最後の日です。賞与が振り込まれる日だけでなく、相手に仕事を渡せる日から逆算します。
たとえば2026年、土日休み、12月29日から会社が休業、有休を10日使って12月31日に退職する場合です。
- 退職日:12月31日
- 有休:12月15〜28日の平日10日間
- 最終出勤日:12月14日
- 引き継ぎに10営業日を使うなら:12月1〜14日
賞与の支給日が12月10日なら、翌日から最終出勤日までの出勤日は2日。入金後に退職を切り出しても、引き継ぎの時間がありません。11月中に話を始めるか、退職日を延ばすかを先に考えます。
就業規則の申出期限、有休の残日数、会社の休業日を確認して相談します。大阪労働局の説明では、退職直前にも有休を取得でき、会社が取得時季を変える場合も退職日を越えて変更はできません。引き継ぎは、最終出勤日までに終える段取りが必要です。
賞与は自社の規程で支給日・支給対象者・支給日在籍条件を確認します。茨城労働局の賞与に関する解説も参考にしつつ、退職予定者の扱いが分からない部分は人事・給与担当へ。「申し出る日」と「在籍が終わる日」を混同し、受取額を決めつけないようにします。

私は以前、引き継ぎがなく、前々任の担当者や関係部署、システム部に聞きながら必死に仕事を進めていました。
残る側には、事情を知る人を探す手間がかかります。
パーソル総合研究所の2024年調査でも、引き継ぎ時間が足りないと感じた後任は47.1%。「説明したつもり」と「相手が仕事を始められる」は違います。
私なら、資料をきれいに整えるより、年明けに残った人が、何から手をつければよいか分かることを優先します。未完了の案件、次の期限、資料の場所、分からないときに聞ける人。
最終出勤日までに渡すものと、後任がいない場合の受取人を上司と決めます。「後任が決まるまで残る」では、退職が延び続けます。残る人への配慮と、採用待ちは別です。
転職先が決まっていれば、先方が待てる入社日も確認します。日本精工のキャリア採用FAQでは毎月1日入社が基本で、数日の延期が翌月入社につながることもあります。
「冬の賞与を受け取り、年内に引き継ぎを終えて、1月に入社したい」など、希望と日程をまとめて伝えます。
賞与を待てなければ、退職日を変えるか、賞与を手放して移るかを考えます。入社日を約束する前に、有休・引き継ぎの日程を詰めます。内定がなければ、1月に収入が戻る前提で予算を組まないことです。
4.辞めた後に掛かるもの(お金)
退職に踏み切れた理由の一つは、一定の生活防衛資金があったことです。
とは言え、辞めてからの税金、特に住民税の支払いは想像以上。ギャラがなくなったあとの支出は、なかなかこたえました。
2026年8月末退職後の記録
退職後の支払額|9〜12月
税金・社会保険料の支払額です。金額の単位は円です。
表は横にスクロールできます。
| 支払済 | 支払予定 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 項目 | 内容 | 支払期間 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
| 年金 | 国民年金+付加年金 | 9月〜翌年3月 | 126,990 | 0 | 0 | 0 |
| 健康保険 | 任意継続 | 毎月 | 43,870 | 43,870 | 43,870 | 43,870 |
| 住民税 | 第3・4期 | 0 | 280,000 | 0 | 0 | |
| 合計 | 170,860 | 323,870 | 43,870 | 43,870 | ||
| 予定を含む合計582,470円 | ||||||
うち支払済み合計:494,730円(9〜10月)。11〜12月の予定分は87,740円です。
年金は2027年3月まで前納済みです。10〜12月の「0」はその月に支払う額が0という意味で、年金の支払いが不要という意味ではありません。
住民税280,000円は第3期・第4期の各140,000円です。年金や住民税をまとめて払った分を含むため、この合計が毎月かかる費用という意味ではありません。
私の場合、9〜10月だけで約49万円。ここに食費や家賃は入っていません。
給料がなくなっても来る、まとまった支払いの重さを見落としていました。
退職後は、年金や健康保険なども自分の口座から出ていきます。「蓄えはあるが、それにしてもいい金額」。実際に払ってみて、そう感じました。

必要なのは、次の初回給与までの生活費+その間に払う税金・保険料+入社や入金が遅れた場合の余裕です。転職先が決まっていても、入社日までのお金で計算を止めない。先方の給与担当に、締め日・初回支給日・初月が満額かを聞き、入金額と日付を確認します。
退職前の確認先は次のとおりです。
- 会社の給与担当と自治体の住民税担当:最後の給与から引かれる住民税と、退職後に自分で納める残額・納期限。二重に数えず、納税通知書と照合する。
- 今の健康保険の保険者・自治体の国保担当・家族の勤務先:任意継続と国保の見積額、扶養に入れるか、手続期限。今の給与明細の天引き額をそのまま使わない。
- 年金事務所や自治体の年金窓口:次の会社に入るまでの加入手続き、納付額と期限。前納するなら、その月にまとめて出ていく額で計算する。
協会けんぽの任意継続は、退職日の翌日から20日以内の手続きが必要です。加入条件と申請方法も退職前に確認しておきます。
失業給付も「辞めた翌月から必ず入るお金」には数えません。厚生労働省の案内では、2025年4月以降の自己都合退職の給付制限は原則1か月ですが、受給手続きや待期、失業認定を経て支給されます。受給条件と初回入金の見通しをハローワークで確認し、それまでは手元のお金で計算します。
ボーナスから支払いを引き、いつまで暮らせるかで退職日を考えます。詳しくは、退職後のお金をまとめた記事で書いています。
お金が足りないなら、次の仕事を決める、退職時期を変えるなど、辞めた後の生活を守る方法を考えます。変えたい仕事や時間の使い方を、資金不足でまた選び直さずに済むように。ボーナスは、そのための余裕として残したいと思います。