通勤時間が長いと暮らしにどう響く?今の負担を減らす方法と次の仕事の選び方

満員電車でつり革につかまり、へろへろになって通勤するカウジ

私はこれまで、片道1時間から1時間30分ほどかかる職場へ通いました。朝早く家を出て、帰宅する頃には一日が終わっている。そんな生活を続けていました。

通勤が長いと、睡眠や仕事の出来、満足度にはどこまで影響が出るのでしょうか。最近の国内調査や海外の研究、通勤の負担を減らした企業の事例から、今の働き方と次の仕事選びでできることをまとめてみたいと思います。

この記事の結論

職場への通勤時間は短いに越したことはない。今の職場で通勤負担を減らせるなら、引っ越し、時差勤務や在宅勤務などを検討。とは言え、変えられない場合は、次に仕事を選ぶときに、通勤時間や距離も含めて検討をする。

目次

長い通勤と、睡眠・仕事の出来の関係

通勤時間と寝不足の関係

2026年10月9日の日本経済新聞は、マイナビの通勤負担調査を紹介。2026年2月に20〜50代の正社員を対象に行われた調査で、通勤時間を回答した578人のうち、1時間以上かかる人は37.9%でした。

現在の通勤時間の内訳

現在の通勤時間を回答した578人の内訳

出典:マイナビ(2026年2月調査、図1)。

また、通勤1時間以上の層では、週2日以上の寝不足を感じる人の割合が、30分未満の層を上回っています。

週2日以上、寝不足を感じる人

回答した人の割合(0〜100%)

通勤30分未満65.6%
通勤1時間以上74.0%
0%50%100%
出典:マイナビ(2026年2月調査、図5)。

睡眠や運動に使える時間への影響

米国のヒスパニック/ラティーノの就労者760人(18〜64歳)を対象に、活動計で睡眠を測った2018年の研究では、1日の往復通勤が1時間長い人ほど、勤務日の睡眠時間が平均約15分短い傾向が見られました。

スウェーデンの就労者20,376人を追った研究でも、週40時間を超えて働く人では、週の通勤合計が1〜5時間だった時期より、5時間を超えた時期の方が、運動不足になりやすい傾向が見られました。

睡眠を削って働くと、仕事の出来はどうなるのか

では、睡眠不足は仕事にどう関わるのでしょうか。

21〜38歳の健康な成人48人が参加した2003年の研究では、夜に寝床で過ごせる時間を6時間に限る生活を14日間続けたグループで、反応の遅れなどで測った注意力が、1晩徹夜したときに相当する水準まで低下しました。注意力の低下が積み重なる一方、本人が感じる眠気は、その低下に見合うほどには増えませんでした。

日本の就労者を調べた2023年の研究では、フルタイムで働く872人について、通勤時間が長いほど、本人が必要だと考える睡眠時間と実際の睡眠時間との差が大きい傾向が見られました。その差が大きい人ほど、自己評価の仕事の出来も低い傾向がありました。

睡眠を削る働き方について私は、アクセルとブレーキを同時に踏んで前へ進もうとしている車のように感じます。通勤の負担を考えるときには、移動に使う時間に加えて、十分に休めているか、仕事に集中できているかも考えておきたいと思います。

アクセルとブレーキを同時に踏み、休息を思い浮かべるカウジ

通勤時間が読めないストレス

通勤に約8.3労働年分の時間を使うというスキルアップ研究所の試算があります。神奈川県の通勤・通学時間を参考に、往復100分・年245日・40年間の通勤時間を、1日8時間・年245日働く1年に換算した計算例です。この数字も相当のインパクトがありますが、私は、見える数字以上のストレスが掛かっていると感じました。

遅延の多い路線を使っていた私は、遅延することで迷惑が掛かるのがイヤなので、気持ち早めに家を出ることを意識。通常は1時間で着くところ、保険を掛けて、到着したい時刻の90分前くらいには家を出ていました。また残業が多かった頃は、仕事中にも帰りの電車やバスの時刻を気にする必要がありました。バスの本数が少なくなる時間帯は、発車時刻に合わせて仕事を切り上げる必要もありました。

米国のニュージャージー州郊外からマンハッタンへ鉄道通勤する56人を調べた2002年の研究では、通勤を予測しにくいと感じる人ほど、本人が答えた通勤中のストレスが高く、唾液中のコルチゾールの上昇も大きくなっていました。コルチゾールは、血糖や血圧などを調整し、体がストレスに対応するのを助けるホルモンです。この結果から、通勤の負担が体のストレス反応にも表れていたことがうかがえます。

所要時間だけでなく、到着時刻をどれだけ見通せるかも、毎日通い続けるときの負担に関わります。

電車の座席でバッグを抱えて通勤するカウジ

企業による通勤負担軽減策

企業側でも、働く場所や出勤する時間を変えて、通勤の負担を減らす取り組みがあります。

富士通では、通勤が減って睡眠や家事に時間を使えるという意見

富士通は2020年7月の「Work Life Shift」で、製造拠点や客先常駐者などを除く国内グループ約8万人を対象にテレワークを基本とする働き方へ転換。仕事に合わせて自宅や会社のオフィス、サテライトオフィスから働く場所を選べるようにし、コアタイムのないフレックス勤務も拡大しています。2026年の公式発信でも、この働き方は続いています。

その後、2025年1月に公表されたグループ社員454人へのアンケートでは、通勤の負担が減り、睡眠や家事、子どもの送迎、自分の時間を確保しやすくなったという声が紹介されています。一方で、運動不足や交流の難しさ、仕事と私生活の区切りにくさも挙がりました。

通勤を減らして生まれた時間をどう使うか、仕事を何時に終えるかも、暮らしの余裕に関わってきます。

アスネットでは、混む時間を避けて出勤する

アスネットは、本社勤務者が8〜10時の間で出勤時刻を選べる制度を導入しました。東京都が紹介した2017年度の事例では、試行後のアンケートで導入への賛成が9割を超え、交通の乱れによる遅刻への不安が減ったことなどが紹介されています。

現在の公式採用ページでは、本社勤務者は8〜10時の間に出勤し、8〜19時の範囲で実働8時間とされています。1日8時間を働く時間帯をずらす「時差出勤」です。職種や配属先によって条件は違いますが、出社を続けながら、混む時間を避ける方法もあります。

Trip.comでは、週2日在宅のグループで退職率が低かった

中国の旅行大手Trip.comでは、社員1,612人を無作為に割り当て、週5日出社と、週2日在宅勤務を認める働き方を比べました。2024年に公表された研究によると、約半年の試験で、退職率は週5日出社のグループより、週2日在宅のグループの方が低い結果でした。仕事への満足度も在宅勤務を認めたグループの方が高く、人事評価への悪影響は見られませんでした。

約半年の試験中に退職した人の割合

同じ試験期間の2群を比較/横軸:退職率(0〜10%)

週5日出社7.2%
週3日出社+週2日在宅4.8%
0%5%10%
出典:Bloomほか(2024年、Nature)。1,612人を無作為に割り当てた約半年の試験。2群の差は2.4ポイントです。一社・特定の職種での結果です。
窓辺でノートを開くカウジ

転職先では、実際の出社頻度と相談のしやすさを確認する

在宅勤務には通勤を減らせる良さがある一方、部署をまたぐ交流や育成の機会をどう確保するかという課題もあります。

転職先には、配属先の実際の出社頻度、入社直後の研修期間、上司や同僚と出社日が重なるか、方針変更の予定を聞いておきたいところです。「リモート可」だけで判断せず、通勤負担と相談・学習の機会を一緒に見ておきます。

同僚と出社日程や相談の機会を確認するカウジ

通勤の負担を減らす方法と、次の職場選び

今の職場で使える制度があれば、相談してみる

時差勤務が使えるなら、混雑を避けられる時間帯を調べる。在宅勤務や自宅に近い拠点を使えるなら、配属先での条件を確認する。例えば在宅勤務を増やしたいなら、在宅で進められる仕事と、出社が必要な仕事を分けて提案する。難しいと言われたら、制度上使えないのか、その部署の業務上の事情なのかを確かめます。

職場の近くへ引っ越せるなら、家賃や引っ越し費用が増えても、通勤を短くする価値はあるかもしれません。休息に回せる時間や、仕事に集中しやすくなることも含めて比較検討したいところです。

次の職場は、週の通勤時間と出発・帰宅時刻で比べる

求人を比べるときは、片道の時間と、配属先の実際の出社日数を確認します。

同じ片道60分でも、週5日出社なら往復で週10時間、週3日なら週6時間です。また、週5日出社で片道60分を45分にできれば、1週間で2時間30分の差になります。チリツモで考えると、インパクトは結構大きいです。

配属先の始業・終業時刻に合わせて、遅延に備える余裕も含めた出発時刻と帰宅時刻を確認します。帰宅後に十分休めるか、家族と過ごす時間や自分の時間が残るかまで比べたいです。

関連記事:在宅勤務で働きすぎないために、自分の時間を先に確保する

補足|出社方針と在宅勤務の研究・調査

一方で、社員同士の協働や育成、企業文化の共有を重視して、出社を増やす企業もあります。

リモート勤務の課題を示す研究もあります。Microsoftの米国社員約6万人を調べた研究では、全社的なリモート移行で部署をまたぐ交流が減りました。

出社を増やした後の変化を調べた研究もあります。米国の大手1社の技術者を対象にした2026年の論文では、週3日出社の方針導入後、同じ拠点のチームは、離れた拠点に分かれたチームに比べ、プログラムの不具合などが減りました。若手や入社から日の浅い社員ほど改善が大きい一方、経験豊富な社員が書くコードの量は減りました。育成に時間を使うことと、本人の作業量との間には兼ね合いがあるようです。

今後も出社回帰の進み方は、企業や職種によって分かれそうです。国土交通省の2025年度調査では、雇用型就業者のうち直近1年間にテレワークをした人の割合は、前年度の15.6%から16.8%に上がりました。この数字は実施した人の割合で、週に何日在宅で働くかを示すものではありません。KPMGの2025年米国CEO調査では、3年後を「週3日出社のハイブリッド」と予想した回答が51%、「全日出社」が35%でした。

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カウジについて

カウジのアバター カウジ 元管理職

44歳で次の仕事を決めずに退職したカウジです。現在はストック型のスモールビジネスに挑戦中。退職前に考えたことと、辞めた後の暮らしを実体験から書いています。
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